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なお、今回我々の滞在中にカウンターパートのヤヤ医師がバンギー大学医学部の教授に昇任したことは非常に喜ばしいことである。バンギー大学医学部もカモウネ氏が医学部長になり、医学教育について我々にいろいろと意見を求められるなど、広島大学に留学していたヤヤ医師の成果を踏まえて、多くのことを日本の医療を参考にしながら発展させて行きたいと希望が述べられた。政情も隣国のコンゴ民主共和国(旧ザイール)では内戦があるものの、中央アフリカ共和国の政情は安定しつつあり、今後の医療協力の遂行には問題がないものと思われる。同国の方針として医療保健対策が重要視されているので中央アフリカ共和国に対する援助の継続が好ましいと判断される。

なお2001年1月に日本大使の移動があり、川合大使は退官されて帰国されたが、後任には以前外務省のアフリカ一課でお世話になった高倍大使が就任され、笹川記念保健協力財団に挨拶に来られ、本援助対策の継続を紀伊國理事長に依頼された。

中央アフリカ共和国の経済状態をみると、笹川記念保健協力財団が行っている寄生虫症対策プロジェクトを同国のみで遂行することはかなり困難であると云わざるを得ないが、現場で医療業務に携わっている医師、看護士、検査技師などが可なりその技術を身につけているので、近い将来に同国のみでの保健衛生対策が確立されることを期待したい。それまでは中央アフリカ共和国に対する援助の継続は必要であり、また好ましいと判断される。

また、先にも記したごとく、在バンギー日本大使館に赴任される高倍大使が就任挨拶に来られるなど、現地の大使館員の方々も、我々の調査団が中央アフリカ共和国で行っている仕事が現地で高く評価されていることを周知しておられ、中央アフリカ共和国に対する医療援助の継続を強く希望しておられた。今回の調査に関しても、川合大使のご配慮で別送荷物を日本大使館で受領しておいて下さるなど大使を始め、大使館員の方々に多くのお力添えを戴いた。

中央アフリカ共和国の政情は殆ど安定しており、首都のバンギー始めブアール、バンザ村などこれまでの状態と変りはなく、中央アフリカ共和国政府としては、特に保健省を中心に常に笹川記念保健協力財団に対する配慮がなされている。来年度は雨期の明ける前の8月頃に調査団の派遣を行えば、本年度と同様にブアールにも出かけることが出来、ケラ・セルジャン村の検診が可能であろうと思われる。また、日本政府の援助で行われているブアールまでの縦断道路建設も鹿島グループが継続しており、ケラ・セルジャン村までの行程も少しづつ良くなっている。

毎年述べていることであるが、中央アフリカ共和国における笹川記念保健協力財団の医療協力計画が占める位置は大きく、その継続が強く望まれている。また、先にも述べたごとく、在中央アフリカ共和国の前川合特命全権大使、新高倍特命全権大使始め黒沢医務官など、現地日本大使館の館員の方々も医療面における本財団の援助および調査団の業績を評価され、大きな期待を寄せられている。

 

 

 

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