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なお一過性に排出されたと思われるが、肝鞭虫の虫卵陽性者も1名見出されている。またバンザ村では蠕虫卵の陽性は63名中32名(50.8%)でその全てが鉤虫卵のみの単独陽性であった。

厚層塗抹法のみを行ったウワンゴ診療所では241名中39名(16.2%)が蠕虫卵陽性であり、その内訳は鉤虫卵陽性21名(8.7%)、蛔虫卵陽性12名(5.0%)、マンソン住血吸虫卵陽性5名(2.1%)、鞭虫卵陽性1名(O.4%)であった。またビルハルツ住血吸虫症の診断のためウワンゴ診療所でのみ検尿を行ったが、129名中4名(3.1%)からビルハルツ住血吸虫卵が検出された。

消化管内寄生原虫嚢子の検査はMGL法による検便をケラ・セルジャン村とバンザ村で行ったが、ケラ・セルジャン村では原虫嚢子陽性が199名中126名(63.3%)で、その中赤痢アメーバ陽性が22名(11.1%)、大腸アメーバ陽性が94名(47.2%)、小形アメーバ陽性が78名(39.2%)、ヨードアメーバ陽性が40名(20.1%)、ランブル鞭毛虫陽性が19名(9.5%)であった。またバンザ村では原虫嚢子陽性が63名中27名(42.9%)で、その中赤痢アメーバと小形アメーバの陽性が各11名(17.5%)、大腸アメーバ陽性が17名(27.0%)、ヨードアメーバ陽性が8名(12.7%)、ランブル鞭毛虫陽性が7名(11.1%)であって、原虫嚢子の陽性率はケラ・セルジャン村の方が高かったが、赤痢アメーバの陽性率はバンザ村の方が高率であった。

血液検査によるミクロフィラリア陽性者は、ケラ・セルジャン村では203名中23名(ll.3%)で、陽性者23名中ロア糸状虫陽性が15名(65.2%)と多く、逆にバンザ村では73名中18名(24.7%)がミクロフィラリア陽性で、この陽性者18名全員から常在糸状虫のミクロフィラリアが検出され、ロア糸状虫陽性者は常在糸状虫との混合感染の6名(33.3%)のみであった。また、マラリア原虫陽性はケラ・セルジャン村では203名中117名(57.6%)、バンザ村で73名中59名(80.8%)であり、バンザ村の方が高率であった。なお、ケラ・セルジャン村では熱帯熱マラリアが陽性者の61.5%、四日熱マラリア陽性者が81.2%で、バンザ村でも熱帯熱マラリアが62.7%、四日熱マラリアが78.0%と両村の間で大差は認められなかった。なおケラ・セルジャン村もバンザ村もマラリア感染者の約40%は熱帯熱マラリアと四日熱マラリアの混合感染であった。

また、ケラ・セルジャン村で全検査を受診した人を比較すると、本年度の陽性率は93.0%と昨年度の陽性率89.5%に比し高率であったが、一人平均の感染種類数は昨年3.00種、本年2.98種と減少していた。また、バンザ村での比較でも、本年度93.3%、昨年度93.8%と陽性率に大差は認められていないが、一人平均の感染種類数は昨年3.26種、本年2.87種と減少していた。このことはこれまでに実施してきた衛生教育が役立っているものと思われる。

以上のごとくケラ・セルジャン村を始め、バンザ村およびウワンゴ診療所における寄生虫の陽性率や平均感染数が増加していないのは、住民に対する衛生教育とともにこれまで現地の検査技師に検査技術の移転を行った成果であると思われる。

 

1) 検診対象

ケラ・セルジャン村では203名の受診者があり、199名はその日に糞便の提出があったので厚層塗抹法による検便を現地で行い、蠕虫陽性者69名に対して駆虫剤の投与を行った。

 

 

 

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