フィールドワークに参加して
吉國晋(広島大学医学部4年)
私は、今回このフィールドワークに応募したのは、航空券から食費まで全ての旅費を財団が負担してくれるという魅力に惹かれたからで、今まで公衆衛生や衛生学はまじめに勉強はしていませんでした。
でも今回参加してWHO、JICA、NGOといろいろなレベルの国際医療協力の現場を実際に見て、公衆衛生という学問の大切さを知ることができました。実際WHOで働く多くのスタッフがMPH(公衆衛生の修士号)を持っていましたし、海外では公衆衛生(Public Health)は医学部とは別の学部になっているほど広い分野を含んでいるそうです。
また、青年海外協力隊員として現地で働いている看護婦の方が今回私たちに同行され、いろいろお話を伺ったのですが、現地の人とうまくいかないこともある一方、休みの日にはビーチにバカンスに行ったり、下宿からe-mailで日本と連絡を取ったりと、フィリピンでの生活を楽しんでいる様子が印象に残りました。
今回の旅で番印象に残ったのは、JICAによるフィリピン家族計画・母子保健プロジェクトを見学した時でした。日本人やフィリピンの医師や医療スタッフが、バランガイやNGOで現地の人々の健康や生活環境を向上しようと努力(それもおもしろく工夫して)している様子がとても印象的でした。
例えば、バランガイの壁にはマラリアなどの感染症や虫歯に注意しようと呼びかけるポスターが張ってあるのですが、どれも面白い絵が入っていて、来た人の興味をうまく引きつける工夫がなされてました。
・フィリピンの学生について
今回フィリピン大学の学生と交流できたのですが、彼らの社会問題に対する意識の高さや行動力に感心しました。私は広島でIPPNW(核戦争防止医師会議)の活動に参加しているのですが、フィリピン大学の学生もIPPNWやAMSA(アジア医学生会議)などの社会活動や国際交流活動に参加している人が多く、お互いの活動の状況などについて話をすることができました。
また、彼らの英語の能力の高さにも驚きました。日本の学生の間では、自分の英語力もそこそこあるかなと思っていたのですが、彼らの喋る英語の速いことうまいこと、彼らの喋りを聞くのに精一杯で、まだまだ自分の英語力も鍛えないといけないと痛感しました。
でも、彼らも彼らなりの悩みがあるようです。フィリピン大学の学生と私たちとで一緒に踊ったり飲んだりしながら、いろいろな話をしたんですが、その時に私が「私の大学の医学部には臨床研究棟という建物があって各科がそこで研究している」と言ったら、彼らの一人が「私たちの医学部は患者の治療で精一杯で、医学的な研究をする余裕がないのでうらやましい。」と答えてくれました。その日に見学した彼らの病院では、学生もどんどん病院のスタッフとして現場に出ていて、私はとてもうらやましく感じたのですが、彼らも同じような思いを日本に対して持っているようでした。