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その後、平沢さんの案内で資料館内を見学した。医学的には治癒可能なハンセン病が杜会的には治すことは非常に難しいといことを痛感した。平沢さんは一年で治るからと言われて10代の頃に全生園にきて、現在に至る。話を聞いて本当に凄まじい歴史があったのだと痛感した。平沢さんの一言一言が迫力があり、その言葉は私たちの胸を打った。平沢さんの話を聞いて涙を流す人は決して少なくなかった。

 

結核予防会結核研究所にて

(財)結核予防会結核研究所 国際協力部 部長 下内昭 先生

 

○国際協力とは

・あくまで人と人である。

・いくらお金を出しても現地に赴かなければ意志は通じにくいもの。

・成功の秘訣は、最先端の医療者と患者との信頼関係ではないか。

○結核という病気の特徴

1. 世界人口の3割を占めている。

2. 人から人への伝染。

3. 一度感染すると一生発病の危険がある。

4. 免疫力低下により発病が促進される→高齢者に多い。

5. 軽症状から徐々に進展する。

6. 治療は6〜12ヶ月持続して投薬。

○TBが減らない理由

1. 生物学的特色。

2. 経済的要因。(富の不平等、経済停滞)

3. 不十分な保健インフラ。(薬がない、携わる人がいない)

4. 不十分な結核対策。

5. HIV感染の流行。(1年間で世界の10%が発病する)

○HIVと結核

・HIV感染者のうち、1年間で結核の発病率は5〜8%。

・HIV感染者のうち、一生の結核の発病率は30%。

・結核は、HIV陽性者の死亡原因の1位となる感染症である。

・発症のメカニズムとしては

1. 既感染の発病

2. 急速進展

3. 再感染

4. 耐性菌の出現

○DOTSについて

DOTS(Directly Observed Treatment, Short-course;直接監視下短期治療)とは、世界中で結核患者を見つけて治すために利用されている方法である。具体的には、WHOガイドラインでは通常の6〜8ヶ月間投与される。結核治療開始2ヶ月は症状が重く、薬剤耐性を獲得するという危険があり、また、他人に対し感染の脅威であるという点で特に重要である。

 

 

 

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