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2.3 小型高効率熱交換器の研究

SMGTは、燃費改善のため、タービンから排出されたガスの熱で燃焼器に入る空気を予熱する再生熱交換器を搭載している。本熱交換器の研究では、「ガスタービンとのインテグレーションを含む熱交換器モジュール」としての実用化について取組んできた。

 

2.3-1 熱交換器の形式選定

ガスタービン用再生熱交換器の候補として考えられる各種熱交換器の特徴と代表的な構造の比較を表2.3-1に示す。表中の伝熱面積密度は、単位体積当りの伝熱面積である。また、容積比はプレートフィン型を基準にした場合の評価を示す。

(a)のプレートフィン型熱交換器は、プレートで隔離された空気とガスの流路内にフィンを設置し、熱伝達を促進すると同時に内圧に耐える強度を確保する形式で、シール性や強度、耐久性の面で優れている。

(b)のプライマリー型熱交換器は、容積比はプレートフィン型よりも小さいが、SMGTに必要な大きさを考えた場合、シール性や強度、耐久性が課題となる。

(c)のシェル&チューブ型熱交換器は、産業用としては最も一般的だが、容積比が非常に大きく、SMGT用熱交換器としての小型高効率という要求を満足するのは難しい。

(d)の回転蓄熱型熱交換器は、容積比は小さいが、圧縮機を出た高圧空気と大気圧に近いガスとの間のシールが困難である。

以上より、SMGT用再生熱交換器の形式としては、プレートフィン型を採用することとした。

 

2.3-2 基本構造

本熱交換器本体の概念図を図2.3-1に、断面図を図2.3.2に示す。熱交換器本体は、空気の流れる層とガスの流れる層が交互に積層されている。空気は上側の配管から入り、熱交換器内部を上から下へ流れ、下側の配管から出る。ガスは下方から入り、熱交換器内部を下から上へ流れ、上方へ抜け出る。したがって、熱交換器内部では、空気とガスが対向して流れる向流形となっている。

 

2.3-3 製作手順

本熱交換器の製作手順は次の通りである(図2.3-2および図2.3-3参照)。まず、フィンと隔離板をプレス加工し、裁断する(図2.3-4および図2.3-5参照)。次に隔離板にロウ材を塗布して、その上に空気側フィンを並べ(図2.3-6参照)、さらにその上から別の隔離板で蓋をして、隔離板で空気側フィンを挟み、隔離板の外周を溶接する。この空気側フィンを挟んだ隔離板とガス側フィンを交互に20ペア以上積層し、炉内でロウ付けして一体化する。この一体化されたブロックを計6ブロック製作し、それらを接合することによって、熱交換器本体が完成する。

 

 

 

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