iii) 要素試験
V型パワータービン特有の効率低下要因である可変ノズルの翼端隙間損失を把握するため、2次元翼を用いて隙間量を変化させた試験を実施した。
図2.2.2-2に翼端隙間(クリアランス量)と損失(ロス)との関係を示す。これにより、構造上必要十分かつ性能上許容可能な適正な隙間を設定することができた。
iv) 詳細設計
上述の基本設計および要素試験結果に基づき、詳細設計を行った。図2.2.2-3から図2.2.2-6に翼断面形状を示す。この翼面上のマッハ数分布は、どの翼列も、定格点、部分負荷条件ともに滑らかであり、広い運転範囲で高効率な翼形となっている。
例として、1段静翼のミーン断面位置での翼面マッハ数分布を図2.2.2-7に示す。左側が定格点における分布、右側が部分負荷条件における分布である。
この空力設計翼が振動強度的に問題ない翼形状であることを解析により確認した。例として、1段動翼の振動モードを図2.2.2-8に、同じく応力分布を図2.2.2-9に示す。振動モード図中の+-の記号は、中立位置である一点鎖線を境に位相が逆転していることを示している。
基本設計および翼設計データを基に、ディスクなどの強度上厳しい条件で使用される回転部品について伝熱解析を実施して各部の温度を推定し、さらに強度解析を実施して強度上問題ないことを確認した。例として、1段ディスクの温度分布と応力分布を図2.2.2-10に示す。