2章 各要素の研究
1. 環境負荷低減技術の研究
1.1 低NOx燃焼器の研究
1.1.1 研究の概要
「環境負荷低減技術の研究」の一項目として、「低NOx燃焼器の研究」を平成9年から平成12年にかけて行った。この燃焼器は、低NOx化のため"希薄予混合・予蒸発燃焼+追焚き燃焼方式"を採用していることを特徴とする。H12年度までの要素研究の結果、A重油焚きでNOxの目標値1g/kWh以下を達成できる見通しができた。
1.1.2 SMGT用低NOx燃焼器
SMGTの開発目標仕様のうち燃焼器に関する項目を表1.1-1に示す。この仕様に基づいた基本検討の結果、4つの燃焼器をもつマルチキャン型が採用された。各燃焼器で生じる燃焼ガスは、尾筒を経てタービンに流れる構造となる。
SMGTの大きな特徴のひとつである低NOx化を実現するため、本燃焼器では"希薄予混合・予蒸発燃焼+追焚き燃焼方式"を用いている。燃焼器概略図を図1.1-1に示す。燃料系統はパイロット、メイン、追焚きの3系統に分かれ、各燃焼器はそれぞれ1本、8本、4本のノズルを有する。"希薄予混合・予蒸発燃焼"は、メイン・ノズルから噴射された燃料を空気と混合・蒸発させた後に希薄燃焼を行うことで火炎温度を下げ、NOxの生成を抑えることができる。"追焚き燃焼"は、"希薄予混合・予蒸発燃焼"で生じた燃焼ガスに燃料を噴射することにより、少ないNOxの生成で低NOx運転範囲を広くとることができる方式である。パイロットは、起動時や"希薄予混合・予蒸発燃焼"の保炎等に用いられる。
1.1.3 低NOx燃焼器の研究
低NOx燃焼器の研究は、燃焼器各要素の試験を行うことにより実施した。図1.1-2に燃焼器各要素の試験を示す。良好な噴霧の微粒化等を評価するための噴霧試験、予混合・予蒸発部だけを取り出して評価を行うバーナ部試験、燃焼器ライナや尾筒内部の流れを最適化するための流れ試験を行い、それらの成果を反映した燃焼試験を実施して改良を行った。燃焼試験は図1.1-3に示すような試験装置を用い、エンジン運転を模擬した条件で燃焼させることにより、燃焼器性能に関するデータ(排ガス成分、ライナ壁温等)を取得することができる。また燃焼試験に加え、可視化試験やCFDによって燃焼器ライナ内流れの把握し(図1.1-4、1.1-5)、燃焼器形状の決定に役立てた。