日本財団 図書館


ご挨拶

 

当センターの実施している地域伝統芸能の活用による国際交流プロモーション事業は、各地の自治体と協力して、その地元に古来受け継がれてきた伝統芸能を活用して、国際観光の振興や地元の商工業の活性化を図り、あわせて国際相互理解の促進に役立てることを目的に、日本財団の助成を受けて実施しているものです。

今回は、派遣先として、おととしの台湾中部地震後、海外旅行者が減少した台湾を選び、同国と特につながりの深い九州地区の自治体の協力を得て、国際交流プロモーションのための活動を実施致しました。出演いただいた団体は、熊本県「高森阿蘇神社神楽保存会」「上色見熊野座神社神楽保存会」「風鎮太鼓保存会」の皆様で、我国を代表する素晴らしい伝統芸能を受け継がれている方々です。

国際交流プロモーション活動としては、平成13年2月に台湾を訪問し、高雄市で開催された「台湾ランタンフェスティバル2001」への参加と、台北市での台湾旅行業界代表を招いての訪日旅行促進のための意見交換を中心に、高雄市で同時開催された「高雄国際旅行博覧会」にも参加し、多彩な活動を展開しました。

高雄市は、台湾南部に位置する台湾最大の工業都市として台湾経済の発展に大きくかかわってきた町として有名です。「台湾ランタンフェスティバル」は今までは台北市で開催されていましたが、旧正月の終わりを告げる祭りとして、本年は高雄市で開催されました。台湾でも有数のお祭りのひとつです。日本のみならずオーストラリアのチームも参加して、会期中の観客は、100万人に及ぶといわれており、台湾マスコミの注目度もきわめて高い行事であり、開会式には陳総統が自ら点火を行いました。

日台両国の間には、台湾から年間93万人を超える人々が我国を訪れ、日本からは年間76万人近い人々が台湾を訪れるなど、濃密な人の交流があるにもかかわらず、文化面、特に大衆文化の分野での交流は必ずしも十分とは言いがたい状況にありました。今回の熊本県の高森阿蘇神社神楽保存会、上色見熊野座神社神楽保存会、風鎮太鼓保存会の公演も、そのような大きな流れの中で捉えることもできると感じている次第であります。日台相互の伝統芸能等を活用した文化交流により、相互理解を深め、将来に向けて両国関係を築くための一助にすることができるものと確信しています。

最後になりましたが、今回の公演を実現するにあたり、多くの皆様にお世話になりました。

特にご出演いただいた団体の皆様には、台湾の観客を魅了したその素晴らしい演技に、まずもって感謝申し上げたいと思います。なかには、外国での演技は初めてという方もおられましたが、今回の台湾公演を機にさらに大きく飛躍されるものと期待しています。

また、地元の自治体や、観光関係団体、台湾観光協会、国際観光振興会、日本財団、国土交通省、その他の関係の皆様にも大変お世話になりました。さらに、台湾への旅行にあたりお世話いただいた近畿日本ツーリスト、NHKアート、台湾側の受け入れ団体の皆様のご協力も忘れることができません。この場をお借りして、関係の皆様に、改めて深くお礼申し上げます。

私どもとしては、今回の公演の経験を生かして、日本の伝統芸能の海外への紹介事業にさらに磨きをかけ、観光振興と国際相互理解の促進に努めてまいりたいと思います。

 

平成13年2月28日

(財)地域伝統芸能活用センター

理事長 土橋正義

 

 

 

目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION