日本財団 図書館


受診については本人も拒否せず、産業医の紹介で某総合病院へ、そこは心療内科がなかったので精神科を訪れ、医師より心身の過労がストレスとなってのストレス障害によるうつ状態との診断をうけ、仕事を休んで静養するようにいわれました。しかし本人は、こんな時に休んでいるわけにはいかないと承知せず、家族も同僚も困惑し、もう一度産業医とも相談し、同じ大学出身の2年先輩の監督者に説得を依頼しました。

依頼を受けた先輩監督者は本人を呼んで、「休んではいられないという気持ちはよく分かるが、何といってもこんな時だからこそ、自分の健康が一番大切だし、もちろん、辞める必要は全くない。医師のいうとおりに少し休養するように」と、こんこんと説得しました。以前から信頼し、親近感をもっていた先輩のいうことでもあるので、やっと本人もその気になって、改めて、先輩ともども病院を訪れました。医師も再度、「少し休養すれば必ず元気になるのだから」と話し、ただ、あなたのように几帳面で仕事熱心なタイプの人は、家で休んでいても、必ず仕事のことが気になってゆっくり休養できないと思うから、仕事から少し離れるという意味も含めて少し入院するようにと勧め、本人も一応決心して入院となりました。約3週間の入院中、少量の抗うつ剤の投与は受けましたが、ともかく何もしないでゆっくりするということに徹し、すっかり元気になりました。職場復帰を本人も希望、医師もこの際本人のいう通りにしてやったらいいだろうという判断で仕事に戻ることにしました。多少、職務の点では以前より楽なところへ配置換えとなりましたが、その後、問題なく経過しました。

 

考察

ストレスによる精神的な不調に対しては、いわゆる治療というより、休養が第一であるということは、本文の中にも出てきたと思いますが、ここではそのことよりも、それに至るまでの経過について考えてみます。

業務過重―ストレスに対して強い弱いはさておき、ストレス反応やうつ状態を示しやすいのは、几帳面、まじめ、仕事熱心の人に多いといわれます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION