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人事課の依頼で、精神科嘱託医が本人を呼んで、いろいろ問診しました。

嘱託医は、人事課長に、本人を診察した結果、「何らの精神疾患が発症しているとは考えにくい。漠然とした身体の不調があるとはいうが神経症ともいえない。本人が何らかのストレスをかかえているかどうかもはっきりしない。どちらかといえば、我がままで自分勝手なところがあるようで、人格障害とまでいえないとしても、やはり性格的な問題ではないかと思う。もし、休ませるなら表向きの診断名は自律神経失調症とでもしておくしかない。」と伝えました。

確かにそういわれてみると、休んで出てきた時、すみませんとはいうものの、本当に周囲に迷惑をかけて申し訳なかったというような態度が見えないという感じがありました。

精神科医から病気とは思えないという判断が出たことで、人事課としてはかえって対応に困ることになり、結局、本人を呼んで病気ではないとのことだから、周囲に迷惑をかけないように努力してほしいと伝えるにとどまりました。内心では辞めてもらいたいと思ったのかもしれませんが、そこまではいいにくかったのでしょう。

実はこの事例はその後、自分から辞表を出して退職ということになりました。

 

考察

あるアンケート調査で、課長、係長クラスの人たちに職場でどういうことで困っていますかという問いに対して、職員の欠勤というのが、かなり高い割合を占めていました。欠勤の内容については分かりませんが、病気のための長期欠勤や休職などは含まれていないのではないかと思いますので、やはりこの事例のようなことで困っているのではないかと想像します。

明らかな病気は認められない、職場内外でのストレスもはっきりしないまま欠勤が多いというのは職場として大変困ります。

ストレスがはっきりしている、業務過重があるというのなら対応の仕方もあるわけですが。性格的なものが関係しているということになれば、どういう結果になるかは別としてカウンセリングなどで少し根気よく改善をはかるしかないことになります。

 

 

 

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