事例11
朝起きられず欠勤の続いた職員の事例
―転職で新天地―
36歳、男
某私立大学の文系の学部を卒業後、民間の会社に勤めた後、8年前から、某省庁の外部機関に事務職として勤務
本人は、まじめで、人付き合いもよく勤務状況良好でした。特に責任の重い仕事を任されていたといこともありませんでした。
ところが、3年位前から、はじめは半年に1回ぐらい、そのうちに3ヶ月に1回ぐらい、2〜3週間続けて欠勤するという状態がみられるようになりました。その欠勤も、はじめの何日かは勤務先へ電話で「体調が悪くて休みます」と連絡していましたが、そのあとは結局無断欠勤のような形になっていました。勤め先の関係の寮にいましたので、心配した上司が様子を見に行くと、ふとんを敷いて寝ていて、聞くと朝起きられず、連絡しなければいけないと思いながら、それもできない状態になってしまったといいます。病院へ行くように勧めましたが、そのうちに何となく良くなり、また通常の勤務に戻りました。それまで、特別の問題のなかった職員なので、無断欠勤については注意し、年次休暇などで何とか処理したようです。しかし、それが何度か重なったので、とうとう上司も精神科医を受診するように強く勧め、このままでは職場をくびになってしまうよと言い渡しました。本人もなぜこのような状態になるのか分からないという不安もあって、某国立病院の精神科を受診、検査のための入院に同意しました。
入院後、脳波、脳の断層撮影、心理テストなどいろいろな検査を受けましたが、明らかな異常は認められませんでした。
一方で約1ヶ月の入院期間中、病棟生活では、特に問題なことも異常な点は見受けられず、むしろ、具合の悪い他の入院患者の面倒をよくみるというような状況でした。