単に月に何時間以上の超勤は認定上の基準を満たすというふうには決められませんが、大よそ百時間ぐらいの見当で一応の線を引くことにしていますが、内容と照らし合わせて決定することになります。
長時間の労働による身体的な過労は大きなストレスとなり、精神的不調の要因となりうることは周知のことと思いますし、第2巻でも説明してあります。
仕事の内容が当事者にとって、過重性があったかどうかの判定もなかなか容易なものではありませんが、表に示した内容に準じて検討していくことになります。それについて少し説明を加えて見ます。
公務員であっても民間の職員であっても、勤務者であれば、大抵の人が、人事異動、配置転換、出向などは避けて通れないことになります。これが、うつ状態の発症の要因となることがあるということは第2巻でも述べました。ここでは、それが業務過重ということと関連してくるかどうかということになります。単に職場が変わったということで業務過重になったとはもちろんいえませんが、それによって従事する仕事の内容が大きく変わった、全く新しい仕事に就くことになったなど。また、たまたま仕事に慣れないままに極めて忙しかったという状況があれば十分に考慮されるでしょう。
同じ職場の中であっても、いろいろな事情で仕事の内容が全く変わるということもあるでしょうし、一時的であるかないかはともかくとして、通常業務以外に新しい仕事が加わった、また、前の仕事量との関係もありますが、職場態勢の変化や定員削減などで、仕事が増えたり、別の仕事にも手を出さざるを得ないとか、コンピューターなどの新しい機器の導入で、全く新しい対応を要求されるなど、様々の事柄が考えられるでしょう。
また、これに昇進・昇格により責任が重くなったという事情が加わり、更に精神的な負担が大きくなるという事態もあり得ると思われます。
特に監督者などの立場の職員では、自分一人の責任で決定する事項の多い仕事、責任が特に本人にかかることが多いなどの場合は、精神的な過重、ストレスが大きくなるということはよく理解できます。