次いで、職場としての対応は、第2巻で述べた一次介入、二次介入、三次介入に関してよく分かってもらうという順になります。ビデオなどを使ってということも出てきましたが、実際のことをよく分かってもらうためには、事例の提示というのが大変有用になります。
以前講師を務めた監督者研修でこの三つについて話をしたことがありますが、一度にというのはなかなか困難で、結局三回に分けて講演をして大変よく分かったというコメントをもらったことがあります。
事例を示すというのは、理解を深めるためには大切というより、是非必要なことなのですが、事例については講師側の全くの創作というのも全く不可能ではありませんが、どうもピンとこないというところがあるような気がします。一方で、実際にあった例ということになると、本人のプライバシーの問題、守秘義務の問題が絡んできます。実際に身近でみられた事例というのが一番分かりやすいということとの板挟みになりますが、ある程度アレンジしてということしかありません。しかし、それでも自分の職場や身近の職員のことになるとだいたい分かってしまうもののようです。
私自身も、クローズドの研修会だからということで、ある事例を挙げて説明したところ、もちろん、名前や部署などは明らかにしませんでしたが、その本人が研修会に参加していることが分かって、立ち往生してしまったことがあります。たまたま、その事例は、精神病というのではなく、すっかり快復して、監督者に就いた人だったのでまだ良かったのですが、講演でもこのようなマニュアルなどでも事例の提示には大変気を遣うもので、それが当然でもありますが。
具体的な方法はともかくとして、個々ではメンタルヘルス教育の重要性を強調しておくのにとどめておきます。