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また、仕事上の過重といっても、たまたま、同僚が病気等で長期欠勤のため、授業時間が増えたというようなことはあるかもしれませんが、それらのことについて、他の職場に比べて、特別に問題になるとは考えにくいように思います。

教師という立場で最もストレスになる事柄といえば、やはり学級運営、様々な問題のある生徒(児童も含む)を抱えての取り組みの苦労ということになります。

テレビや新聞などで報道される、このような、非行少年や問題のある生徒のことについては、世間でもある程度の認識はあると思いますが、それにかかわる教師の苦労などについては報道の面でも余り浮きぼりになっていないような気がします。一方で、公務、労働災害認定にかかわる事例などでみますと、学級崩壊とまでいかないにしても、非常に扱いに困る生徒を抱え、一方でその家族、両親や保護者との関係を含めて、悪戦苦闘をしている教師の姿がよく分かることが多いのです。

ここでは、このような思春期の問題について述べるのが主旨ではありませんので、具体的にどういう問題の生徒がいるのか、精神医学やカウンセリングの立場でどう対処するのかなどについては特にふれません。結局、最も教師やある意味社会が困るのは、人格障害のカテゴリーに入るものであることは間違いありません。最も、これは成人の社会の中でも同様ですが。

最近は、教師の資質、教育に対する姿勢や意欲のことが、いろいろといわれます。確かに問題のある教師もいないことはないでしょうが、大多数の人はそうではないと思っています。

確かに一部に情緒不安定であるとか、家庭の問題などで、欠席しがちの生徒など、もう少し教師の側でうまく対応すれば何とかなったのではないかという例もあるでしょう。しかし、もっと大きな問題を抱えている生徒などに対しては、正直なところ、教師一人がどうやってみても、解決できないことの方が多いと思われます。もちろん、比較的対応しやすいと思われるケースでも、周囲の先生方と相談したり、場合によっては、カウンセラーなど専門家のアドバイスを求めることによって上手に解決がはかれるということがあるでしょう。

 

 

 

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