人事院が示したメンタルヘルス対策のストレスにどう対処するかというところにも、ほどほどの飲酒というのが一つ挙げられています。
ほどほどの飲酒―適正飲酒―を定義するようにいわれても、これは大変困るものです。
一般にいわれているのは、ビールなら大瓶本、日本酒なら一合、ウイスキーの水割りなら二杯ぐらい、といっても何かはっきりとした基準なり根拠があるものでしょうか。
アルコールに強い弱いということは確かにあるでしょう。肝臓のアルコールを分解する酵素の問題だそうですが、それはそれとして、いくらアルコールに強いからといって、日本酒を五合も飲めば、仮にひどく酔っぱらわなくても適正飲酒とはいいにくいでしょう。
個人個人が気持ちよく酔った気分になれる適量というのを別として、二合位までは適正飲酒に入るのではないかという先生もいたりして、冗談のように、酒を飲まない医師は厳しいし、酒の好きな先生は甘いのではないかといったりもしますが、いずれにしても量の問題はかなりあいまいなものだともいえましょう。結局、ここでも常識の範囲でというようなことになってしまいます。
さて、日本酒一合がとりあえずほどほどの飲酒量だとして、一日一合というのと10日で一升というのは同じことでしょうか。今日はもう少し飲みたいなと思う日があったり、友人や職場の部下などが訪れて来て、いつもより少し飲みすぎたというようなことはよくあることです。泥酔状態になってしまうというようなのは論外ですが、少々飲みすぎたと思って、翌日はアルコールをとらない、節酒するということができるのであれば、ある期間のトータルとしてはそんなにアルコールの量は度を越えていない。それも広い意味では適正飲酒といえるのではないかというのはこじつけでしょうか。その位の柔軟性は許される範囲だと思うのですが。
休肝日という言葉があります。アルコールを抜いて、肝臓を休ませる日というのはだれもが知っていると思います。