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ここでは、様々な依存症の成り立ちや、症状、治療法などを説明するのが目的ではありませんので、アルコール依存症だけについて少しふれておきます。ただ、このごろは、アルコール依存症は精神科というより、アルコール科という専門の科で扱うようになってきていますので、ごく常識的、一般的な範囲での説明になるかもしれません。

単に「大酒のみ」イコール「アルコール依存症」というわけではありません。厳密にいえば、依存と依存症は少し違うのかもしれません。お酒を飲まないと眠れないというのまで、依存症とはいえないでしょう。依存症というからには、飲酒によって何らかの問題をおこすということになります。したがって、必ずしも飲酒の量だけの問題ではなく、本人のアルコールに強い弱いも関係してきますが、一般には大酒家が多いことは事実でしょう。これも挙げれば切りのないことで、いつも二日酔いで職場に出てくれば普通ではありませんし、欠勤、遅刻が頻繁であればなおさらのことです。朝から飲む、仕事がおろそかになる。酒の上の借金とか、酒癖がひどく悪い。また、身体の方からいうと明らかにアルコール性肝炎が認められる。更にはっきりした中毒症状が現れるなどのことです。

このような状態となれば、職場ではもちろん大きな問題とはなりますが、他の精神疾患等にくらべて、よりそれが著しいということにはなりませんが、あるいは数の上では多少アルコール関連の方が多いかもしれません。

依存症になりやすい人は、性格上問題があるとか、意志薄弱傾向があるといいますが、アルコールは簡単に手に入るだけに、他の依存症より例数は多くなるでしょう。

アルコール依存症の治療はなかなか難しいことも多く、専門医の手にゆだねることになりますが、成因の一部に、他の精神疾患の症状の一つの現れ、あるいはストレス関連でと考えられることがあります。

 

 

 

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