日本財団 図書館


禁煙に成功した人の例をここで挙げるつもりはないので、一つの自己選択と考えれば、喫煙者が余りに肩身の狭い思いばかりするのもどうかということになるでしょう。

ただ、新幹線の喫煙車と禁煙車を通ってみると煙草を吸う、吸わないに関係なく、その空気の違いは分かるわけですし、ニューヨークのケネディ空港の喫煙ルームに入ってきた人が、「この部屋に入って来ただけで、十分に煙草を吸った気になる」などといったのを聞いたことがありますが、確かに煙草を吸わない人にとっては煙草の煙は嫌なものなのでしょう。煙草以外にもっと有害な物質がいろいろあるだろうという論議はここでは別のことです。

最近は、よほどのことがない限り、大抵の会議などでは禁煙ですし、職場の中でも、煙草は吸わないのが原則でしょう。以前はそこの上司が喫煙者であるか非喫煙者であるかによって、かなり違っていたということがありましたが、近ごろでは、原則的なことはきちんと守られてはいるようです。

将来的なことは別として、今のところ、喫煙者と非喫煙者のそれぞれの人権を守るといっては大げさですが、とりあえずは同居していけるように考えるのが現実的なあり方でしょう。

煙草を吸う人が、どこで吸ったらいいかとうろうろしていたり、外へ出て吸っていたりするのも余り見よいものではありませんし、喫煙者からの苦情が出ることにもなります。どこへどんなふうに喫煙の場所を作るかなどということは、職場の状況などもあるでしょうから一律にはいえませんし、設備関係の人たちの意見も聞いて、どうせ作るなら、とりあえずは気分よく吸えるところをと考えるのがよいでしょう。

煙草を吸う場所、場合によっては時間を制限することの一つの良い面として、喫煙者の節煙につながることがあるようにも思います。

最近は職場で、周囲の喫煙者の煙草の煙で体調を悪くしたと、それが労働災害であるという訴えさえ出てきています。とりあえずは、両者の立場を配慮して、現実的な対応をしていくことになるでしょう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION