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このような人格・性格の偏りについては、従来からもいろいろな分類があり、ICD10でもいくつかに分類されていますが、ここでは、精神医学的な分類やそれについての説明をすることが目的ではないので、このようなものだという定義を挙げるだけにとどめておきます。分類した名称を挙げても、細かい説明をしないと実際には分かりにくいからでもあります。ただ、従来いわれた意志薄弱型タイプなどというのは大体分かると思います。これは、アルコール依存症の人などに多いといいますので、そういわれるとなお理解しやすいでしょう。

ここでは主として、このような人たちの社会や職場内での問題などについてふれておきます。ここでは知的レベルには問題はないという前提です。実際には知的レベルの低い人や痴呆が始まった人の性格・人格あるいはそれらの変化が、様々なトラブルを示すことはありますが、ここでの主題ではありませんので。

人間の性格や人格は様々で人それぞれ違います。十人の人がいれば、性格のタイプは十あるとまでいわれるわけです。必ずしも無理やりにタイプ分けをする必要はないともいえます。

変わり者と人格障害―異常性格―とは違うといいましたが、実際には線を画すことが難しい場合も少なくはありません。

つまらない例ですが、あの人はすごくけちだ。したがって友達と一緒に食事をしたり酒を飲みに行ったりする付き合いは一切しない。自分の食事も着るものも極めて粗末だといったところで、変わり者かもしれませんが、別に他人に迷惑をかけているわけではありません。ところが、それが昂じて、他人に物をねだる、場合によっては職場の物品を持ち出すなどということになると、単なるケチとか変わり者というだけではすまなくなるといったようなことです。

もちろん、職場の中などでは、変わり者程度でも周囲との円滑な交流、人間関係ができないということはあるでしょう。

 

 

 

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