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これはあとの三次介入のところとも関係してきます。

 

(3) 職場不適応にどう対処するか

ただ、職場不適応ひいては精神疾患等を早く見つけて、早く治療のレールに乗せることは、本人自身のために大事なことは当然ですが、職場としては、そういう状態に陥った本人が気の毒であることは別として、仕事を円滑に進めていくためには、早く職場から離れて治療に専念してもらうことが望ましいともいえます。冷たいいい方のように聞こえるかもしれませんが、結果的には、職場にとっても本人にとってもそれがよかったということになる場合が多いように思います。

精神科医の立場からいうと、仕事を続けながら、十分に治療もできれば、それに越したことはありませんし、それがベストなのかもしれません。職場の理解と援助の元で、仕事を続けながら治療も行う、また仕事をしていることが、治療上有効だという例もないことはありません。本人が仕事を休むことになかなか同意しないという場合もあります。いずれにしてもこのような事情の時には、職場としてはかなりの犠牲を払うことになりかねません。これは、病気で休んだあとの職場復帰のところでも問題になることがありますので、三次介入のところも参考にしてください。

私の考えでは、やはり休養を含めて治療に専念した方がいい結果が出るような気がしています。もっとも本人がどうしても仕事を休みたくないというので、医師の方もつい本人のいうままに休ませないで、後で後悔することも経験上はあったことです。この辺の判断は、本人のためにも職場のためにも極めて重要なことで、経験のある産業医、精神科医などが慎重に判断し、本人や家族によく話をして納得してもらうことが大切です。なお、客観的にみればどうしても仕事を続けることが無理であるのに、本人、場合によっては家族が納得しない場合もありますが、次のところでふれます。

そこで改めて、職場不適応にどう対処するかということをいろいろな面を含めて表示しました。

 

 

 

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