カウンセラーは、相談者をあるがままに受容していくことが大切です。これはのちに無条件の肯定的態度と呼ばれるようになります。
3] 「自己理解」
カウンセラーは正確に自分を理解することが必要です。このことは、ひいては、相談者についても正確に理解していけることを意味します。カウンセラー自身の顕著な情緒的パターン、および限界や欠点について、自ら健全な理解をしていることがカウンセラーの資質なのです。これは、のちに自己一致、純粋性、真実さと呼ばれるようになります。
4] 「心理学知識」
カウンセラーには、人間の行動の理解、および人間の身体的、社会的、心理的決定要因についての基礎的な理解が必要です。ロジャーズが「心理学知識」を最初にもってこなかったことには理由があります。カウンセラーの資質が知的素養にあるのではなく、その人の自己ならびに他人に対する見方や感じ方にあることを重視しているからです。
カウンセリング・マインドという言葉は本来、ロジャーズがカウンセラーに必要な資質として取り上げた「共感的理解」「個人に対する尊重」「自己一致」をトータルした意味をもっていると考えられます。
職場でのカウンセリングに則して言えば、「理解的態度プラス支持的態度」、または「育成マインド」(個人が適応を達成することを援助すること)と説明することもできるでしょう。職場で行うカウンセリングの目的としては、ア]部下を総合的に理解(判断)するためのつっこんだ話し合いをする。イ]部下に目標を与え、意欲を持たせる。ウ]部下が変化に適応できるように援助する。エ]部下がホンネを言える場を与える。オ]問題を抱えた部下の悩みを解決する。以上の5項目が挙げられます。今のような時代ですと、ウ]の変化への適応(環境に調和できて能力を発揮できるようになること)を援助することが管理者の重要な仕事となるでしよう。