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《オルフェウス》 〜ギリシャ神話より〜

 

時は現代。

少年は一五才。いろいろな枠に縛られた人間の行き場のない思いを胸に抱えながら日々を送っている。

今日もその思いが爆発し、事件を起こした。自転車で逃げる少年の前に、突然奇妙な小さな美術館が現れる。美術館に飾られた一枚のオルフェウスの絵。見つめる少年の体は見る見る額縁の中へ吸い込まれ、ついにはオルフェウスの体に溶け込んでしまった。

時は三〇〇〇年以上を遡り、少年はオルフェウスとなって古代に目覚めた。

オルフェウスは竪琴の名手。戦いよりも音楽の好きな若者。竪琴の響きに獣や草木までも聞き惚れた。

ある日、オルフェウスは森の中で花をつみにきた美しい娘ユウリデケと出会う。そして二人は愛しあい、幸せな結婚をした。

しかし、戦争が始まり、オルフェウスは戦場へ。

残されたユウリデケは川岸を歩いている時、蛇に咬まれて命を落とす。やがて戻ってきたオルフェウスはその亡きがらの前で悲嘆に暮れる。

オルフェウスは冥界に行ってユウリデケと会うしかない。

諦めきれないオルフェウスは、冥界の女王にユウリデケを返してほしいと哀願する。悲痛な竪琴の響きにさすがの冥界の女王も心を打たれ、後ろを振り返ってはならないという条件付きで妻を返してくれた。

ふたりは命がけの旅を続ける。

しかしあとわずかというところでオルフェウスは振り返ってしまった。

再び、そして永遠にユウリデケは冥界にのみこまれてしまう。

絶望の淵をさまようオルフェウス。

ふと気づくと少年にはさまようオルフェウスの姿がはっきり見えた。閉ざされていたオルフェウスを助けたいと少年の心は素直に開いて、願うが…

(上演時間:一時間三〇分、休憩はありません)

 

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