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心に響け!ドンドンフェスティバル

〜第2回日本太鼓全国障害者大会を開催〜

 

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(伊豆医療センター「どんつく」)

 

第2回日本太鼓全国障害者大会(主催:財団法人日本太鼓連盟、主管:社会福祉法人富岳会・静岡県太鼓連盟、後援:厚生省、静岡県)が日本財団の助成事業として6月17日(土)静岡県御殿場市の御殿場市民会館で開催されました。当日は悪天候にもかかわらず、全国各地より選ばれた障害者の太鼓チーム14団体による大会を見ようと、約1,000人の観客で会場は埋まりました。

今回は、各チームの演奏前に代表者が、今までの苦労や太鼓を叩き始めた理由などの体験発表を行い、続いて、チームの演奏がはじまりました。第1回大会と比べ、演奏技術は数段上がり、中には、健常者以上の素晴らしいバチさばきを披露したチームもありました。

各チームの体験発表と演奏が終わるたびに、会場を埋めた満員の観客から惜しみない拍手が起こり、多くの方に感動を与えました。

ここに、長崎県から出演された知的障害者チーム勤労障害者長崎打楽交流団瑞宝太鼓宮本里美さんの体験発表をご紹介いたします。

『長崎から全国各地、そして、スペインやアメリカヘも遠征しましたが、今この地で皆様と出会うことができ、皆様の前で太鼓を叩ける嬉しさでいっぱいです。

私達の旅は、この世に生まれた時から始まりました。まだ、お母さんの胸に抱かれ、お乳の匂いと、暖かい母親の愛情に包まれ、心地よく眠っていた頃、両親は宣告されました。「この子は、障害児です。普通の人生を歩めない。」と…。

それから、やがて私達は、施設に入寮しました。そこは、一見、ユートピアのように見えるところでしたが、家族や住み慣れた故郷を離れての生活は、寂しく、悲しい毎日でした。「お母さんに会いたい」「会社で働きたい」「自由な生活がしたい」「1人の人間として認めてもらいたい」…そう思う毎日が続きました。

しかし、そんな思いや願いを伝えたり、周りの人に分ってもらうのが上手くできないのは、私達の個性であり、障害なのです。でも、そんな時、和太鼓に出会いました。厳しい訓練や、辛い仕事の中で、ふと心安らぐ一時が、和太鼓の響きに耳を傾け、自ら太鼓を叩いている時でした。みんなと一緒に太鼓を叩くようになり、友達もできました。太鼓なら自分の気持ちも出せるような気がしてきました。それまで、人の前で喋ることなんてできない私でしたが、今、こうして皆さんの前に立っていられるのも太鼓と仲間のお陰です。少しだけど、自信もつき、私達は何も出来ないのではなく、何もさせてもらえなかったのだと思います。

今では、みんな職業を持ち、自分の働いたお金で自分で決めて生活しています。毎日、残業や地域のボランティア活動で忙しいけど、和太鼓が大好きで、暇な時を見つけて練習しています。

今日、私達の太鼓を聞いていただき、私達の思いを感じていただければ嬉しいです。これからも、希望し、努力し、感謝して、太鼓とともに挑戦し続けたいと思います。』

 

*この体験発表をリハーサルの時は、スムーズに読めなかった彼女ですが、翌日の本番では見事に読み上げ、観客に大きな感動を与えました。

 

出演団体

<聴覚障害チーム>5チーム

甲州ろうあ太鼓(山梨)、大江戸助六流ろう者太鼓「鼓心会」(東京)、諏訪聾太鼓(長野)、豊中ろう和太鼓クラブ「鼓響」(大坂)、龍姫太鼓(兵庫)

<身体障害チーム>1チーム

伊豆医療センター「どんつく」(静岡)

<知的障害チーム>8チーム

恵那のまつり太鼓保存会(岐阜)、希望太鼓(鳥取)、勤労障害者長崎打楽交流団瑞宝太鼓(長崎)、仁寿太鼓(島根)、ファミリーユニット「童鼓」(岐阜)、大井川川越し太鼓チャレンジチーム(静岡)、わらしな太鼓(静岡)、富岳太鼓(静岡)

 

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(体験発表をする宮本里美さん)

 

 

 

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