8] 挨拶については道具、稽古場への感謝の気持ちを持つことが上げられます。
次に実践報告をさせて頂きます。私達、富岳太鼓利用者チームを構成するメンバーは、授産施設、更生施設の利用者からなっていますが、今回大会に出演するメンバーは主に授産施設の利用者の方達が中心となっています。普段は、施設内で作業に取り組んでいたり又、地域の会社で働いています。最終的な目標としては社会に出て自立するということも目標の一つとして上げられます。
仕事をしていく上で必要なこととは何でしょうか。
挨拶や礼儀、信頼関係、体力、コミュニケーション等が上げられます。
これらすべての事柄が和太鼓に取り組むことによって身につく事ばかりです。
会社に働きに出ている方達の何名かは、和太鼓に積極的に取り組んでいます。
太鼓をはじめる前には、周りの人達とうまくコミュニケーションが計れず、挨拶、返事ができない、返応がないといったことが原因で就職を失敗してしまった方や体力、精神面の弱さから休みが続き信頼関係の形成ができず失敗してしまった方などいました。しかし、和太鼓に取り組み、今回のように大会に参加し、出演することにより多くの人達と接する事ができます。コミュニケーションをはかる場として、また、人の前で自分を表現する一つの方法としての演奏を行うことによって、自信をもち、認められるという意識をもつよい機会となっています。認められたこと、自信をつけることが表現や態度に表れてきます。
通勤、退勤時のご近所の人達との挨拶が、職場でも同様に自然とでるようになり、やる気が出て、健康面においても向上し信頼関係の形成に大きく影響しています。その他、複式呼吸により今まで大きな声が出す、不明瞭な発音だった方も、はっきりと言葉が出るようになったり、言葉が少ない方が太鼓の掛け声により声が出るようになったりということもあります。
表現するということは、言葉だけではなく、和太鼓を演奏することにより、音や表情、振りなどで、人それぞれの個性を表すことができるのです。それぞれの個性が認められることが大きな自信となり、次へのステップとなります。
私達施設では、全員が日頃の練習の成果を発表できる場が行事等で何度かあり、施設内の発表から、次のステップとして外の公演へとつなげています。富岳太鼓の取り組みをふまえた上で、大きな意味で『太鼓を通じて自立する』『太鼓の演奏を仕事の一つとすること』を目標に、練習に励んでいます。