―実践報告―
富岳太鼓は、社会福祉法大富岳会で生活している心身に障害を持つ人達の団体とその障害者の和太鼓指導をする職員の団体、そして施設のオープン化のための、地域の子供達団体の3団体により結成されており、チームの結成のきっかけは、1975年に富岳会理事長山内令子の発想により障害者の機能回復訓練と青少年の健全育成のために日本の伝統芸能である『和太鼓』を取り入れたことから始まりました。
25年前から、日本の伝統音楽、楽器でいうならば、日本を代表する音楽の和太鼓を取り入れ、この和太鼓をリハビリ、体力作り、又は地域の活性化、コミュニケーション形成として始め、障害のある人から一般の人まで能力、体力、技術にあったプログラムを設定し、個々に取り組んでいます。
各団体とも、一見違ったねらいをもっているように思えますが、療育的観点から見れば和太鼓を使った音楽療育であり、富岳太鼓のねらいそのものであります。具体的には次に上げる4つの事柄をねらいと目標としています。
1] 体を鍛える(身体に関する事項)機能訓練、老化防止、体力強化
2] 心を鍛える(清新に関する事項)集中力、自己コントロール
3] 技を磨く (音楽に関する事項)リズム、表現力
4] 自立(社会性、コミュニケーションに関する事項)礼儀、作法、協調性、言語、自立です。
次に稽古の流れ、それぞれの目的について説明させていだきます。
1]黙想 2]挨拶 3]バチ体操 4]基礎打ち 5]応用パターン打ち 6]本曲 7]黙想 8]挨拶、という流れになっています。
1] 黙想については集中力、自己コントロールを養うことをねらいとしています。この中には、決められた時間座りつづける、姿勢の矯正、複式呼吸の確立をねらいとしています。
2] 挨拶については礼儀作法、協調性、自立を目標とします。ねらいとしては、挨拶を交わす、返事をする、感謝の気持ちを育てるということです。
3] バチ体操については機能回復訓練、老化防止を目標とし身体の各所のストレッチをねらいとしています。年令、障害に応じ、自分のレベルに合わせ、限界で動きを止めることができるので安全性が高くなり、効果的な運動です。
4] 基礎打ちについては機能回復訓練、老化防止、体力強化、集中力、リズム、協調性を養うことを目標としています。太鼓の演奏を見ると、聞くこと、自由に打つこと、又、『始め』『止め』の決まりを守ること、片手(左右)両手打ち、太鼓独特の間を身につけるなど、最も時間をかけて行なう必要性があるものです。
5] 応用パターン打ちは機能回復訓練、体力強化、集中力、自己コントロール、身体表現等を目標としています。基礎姿勢、左右の打ち分け、間の取り方の練習、枠打ち、アクセント打ち等をねらいとしています。
6] 本曲については体力強化、機能訓練、集中力を目標としています。
7] 黙想については最後にその日の練習を振り返り、ポイントの再確認をここでします。