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―実践報告―

私たち恵那のまつり太鼓は、平成2年の発足から今年でちょうど10年を迎えました。

恵那のまつり太鼓というちょっと変わった名前ですが、これは、私たちが住んでいる岐阜県恵那地方には、古くから神社等が多くあり、夏や秋にはそれぞれの神社でお祭りが行われています。私たちの施設の恵那たんぽぽは、たくさんの地域の人たちの協力があってできあがってきました。日頃は地域とのつながりが受け身的な中で、地域のお祭り等に参加させていただくことで、お礼の意味を込めて恵那のまつり太鼓と命名しました。

きっかけは、富岳太鼓の演奏を聞き、和太鼓による療育の一環として、障害の軽減、情緒の安定や生きがいに活かそうと始めました。太鼓の数は限られているので、近くの山からもうそう竹を切り出し、それを打楽器として使っています。現在では、たんぽぽの行事のいちばん最後に入所者全員(約170名)で竹打ちの曲を演奏し恵那のまつり太鼓の特徴のひとつとなっています。

恵那のまつり太鼓は、全員参加を基本としていますが、各地の演奏活動では人数や太鼓が限られるので、レギュラーメンバーが設けられています。レギュラーの条件として、太鼓に興味があり、演奏活動への意欲があることを前提に、1]生活での様子、2]仕事での様子、3]技術的要素、の3つの点を考慮して選出しています。また、入所者の出身地からの演奏依頼には、レギュラーを問わず参加して地域との結びつきを意識づけています。最初は地元のお祭りへの参加が主な活動でしたが、口コミ等から演奏依頼が増え始め、現在では、県内はもとより県外のイベント等にも参加し、年間50回ほど演奏活動を行っています。時には、善意のおひねりが何万円もこえて驚いたこともあります。昨年からは、恵那地域周辺で活動している他の太鼓チームに声をかけ、恵那たんぽぽ主催の太鼓フェスティバルを開催し、四月には第2回目を盛大に行うことができました。

これからは、『福祉施設の太鼓』にとどまらず、練習の充実や曲のレパートリーを増やし、太鼓の充実、演出などで、演奏の質の向上を目指し、より文化的、芸術的な面での充実を図っていこうと考えています。そして、年に1回全国より仲間が集り発表しあうことによってよい刺激となり、次年度の大会が新たな目標となるとすばらしいと思います。

 

 

 

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