我が国唯一、高レベルの「第3回総務大臣杯日本太鼓ジュニアコンクール」が長野県岡谷市で盛大に開催できますことは、大変に光栄であると同時に大きな喜びであります。
長野県は諏訪大社、善光寺などの崇社古刹(すうしゃこさつ)があり、古代より独特の太鼓文化を持ち、かつて、永禄年間川中島の合戦で、武田信玄が将兵の士気を鼓舞するため、御諏訪太鼓を用いて有利な戦の展開を図ったことは有名です。さらに、卓越した太鼓打芸の伝承を持ち、長い歴史と伝統の中で高度な太鼓文化を生み出し、今日に伝承している全国希にみる太鼓県です。多くの愛好者を擁し、53年長野国体では史上初の太鼓416人による開会式を行い、大変な話題となりました。今でも行なわれている国体太鼓開会式の先鞭をつけ、3年前の98長野オリンピック閉会式における2000人の揃い打ちでは、世界30数億の人々に大いなる感動と感銘を与えて、一躍太鼓のメッカとして、世界に長野県の名をとどろかせました。
今や日本太鼓は単なる郷土芸能、民族芸能の域を越え、国際的かつ現代的な音楽芸術の最たるものとして、各方面より高く評価され、無限の可能性が期待される存在となりました。そして本日、この大会を飾って日本の太鼓文化を内外に発信する若武者は、主催地である長野から5団体をはじめとして北海道から九州まで全国29都道府県より選抜された33団体340名のジュニアが出場します。日頃錬磨された各地の伝統と創作による太鼓打芸を多くの皆様にご聴覧頂きたいと存じます。正に鼓動が感動に変わる中で、礼と節、一打全魂の太鼓の技が限界ギリギリまで発揮されて青少年の心身の練成とともに後継者の育成にもつながるならばこの上ない喜びであります。
ご来場の皆様には、太鼓の持つ心と魅力、すなわち響(ひび)き、韻(こも)り、轟(とどろ)きとさらに勇壮、華麗、千変万化のばちさばきを充分にご鑑賞頂き、次代の日本太鼓界を担う若き勇者達の雄叫びに、限りない拍手、ご声援と激励をお贈り下さるようお願いいたします。
最後になりましたが、本コンクールの開催にあたり、ご尽力いただきました財団法人日本太鼓連盟、長野県、岡谷市をはじめ関係者の皆様、出演団体各位に心から敬意を表しご挨拶といたします。