日本財団 図書館


大阪被害者相談室5周年おめでとうございます

 

大阪被害者相談室アドバイザー

武蔵野女子大学教授 小西聖子

 

そんなに経ったかなというのが私の実感です。早いものです。

私は1995年に阪神、淡路大震災の支援ということで、心のケアプロジェクトに参加させていただきました。96年に被害者相談室が立ち上がり、その後の活動が発展してきた状態を横で観察しながら歩いていた私にとっても、この5年は大きなものでした。私自身にとっても、のこのことただ新しい活動を見たりしたりするということだけでなく、対人援助とは何かとか、あるいはケアの本質とはなんなのかというようなことを考える、非常によい機会になったと思います。

実際に活動を、資金や設備もないところから始め継続していくということは本当に大変なことです。一定の活力を保った活動を続けていくということだけで非常に多くの労力を費やしますし、それを担っていかれるボランティアの方は本当に大変だと思っています。ただ大阪被害者相談室の活動は純粋な民間ボランティア活動を核にして出発し、ボランティアの本質に沿った相互援助的な対人的なサポートを核にしているという点で、私にとって好きな場所でもあるのです。

 

この5年のあいだに社会の犯罪被害者への関心は急速に高まってきました。その結果として、2000年の5月に犯罪被害者の保護に関する法律が通過し、更に現在は犯罪被害者給付金の対象基準が話題に上がっています。勿論それらは犯罪被害者のさまざまな問題の中ではごく一部に過ぎません。権利の保障は充分に行なわれているかというと決してまだそうではないと思います。けれども数年前に比べれば関心だけでなく、支援の手段もそれから支援のソースも広がってきているのも確かです。

犯罪被害者の援助には例えば法的な援助も必要だし、経済的な援助も必要。それから精神的な援助も必要である。多面的な援助が必要であるということはよく言われることです。その中では、大阪被害者相談室は精神的な援助を行うという目的のもとに活動されているわけです。けれども電話をかけてくる人にとってはそのことはわからないことですし、かけてくる時にそういうことを理解しろというのもやっぱり無理なことだと思います。つまりかけてくる人のニーズというのは、必ずしも被害者相談室が出来ることとは一致していない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION