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心のこもった被害者支援活動

 

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都民センター事務局長 飯島澄子

 

人の心はバランスのとれた日常生活の中で生まれ育っていきます。被害者の方は、ある日突然、強制的にこのバランスが崩される状態といえましょう。このような人々を支えていくためにはどのようにすればよいのでしょうか。

確かに被害者支援の問題は、法改正等少しづつではありますが動き始めています。最近では、平成十二年五月十八日にストーカー行為等の規制等に関する法律が成立し、十月三十一日には少年法改正案が衆議院を通過、また、十一月一日には犯罪被害者保護法と改正刑事訴訟法が施行されましたが、しかし、国の制度を見ると、犯罪被害者等給付金支給法による保障も厳しく、被害者の苦境を救うにはまだまだの感があります。

本年四月に当センターが設立され、約八ヶ月が経過しましたが、電話・面接相談の合計は千三百件を超えました。しかし、実際に被害を受けても自分にも悪いところがあったとか、相談してもどうせ分かって貰えない、などと思って相談に来ない人も多いと思います。相談者に対しては、被害者の立場に立って出来るだけ精神的なサポートをしていくことと、支援活動をしていくときは、被害者にとってどのような援助が最もよいのか、自分たちでできることは何か、そして限界や問題点は何かということを考えながら支援していくことが大切です。またスタッフは、一人で抱え込まないで、場合によっては色々な関係機関・団体と連携を取り合いながら対応するように心がけています。そのためにも日頃から検討会を行ったり、連携先をリストアップして、どんな場合はどこに紹介するのか等、マニュアルを整備することも大切です。

また当センターでは、事件直後に何をしてよいか分からない方や、相談したい気持ちはあっても外に出られない被害者のために自宅を訪問したり、病院や法廷に付き添うなどのデリバリーサービスや、被害者遺族の自助グループ活動、ボランティア養成セミナーなども行っております。相談を担当するスタッフは、精神医学、法律関係、心理学関係、被害者学関係などの研修や、毎週事例検討を行って、被害者にとってどのような援助を実施していくべきか等について、常に教養を高める努力をしています。

このところ、トラウマとかPTSDという言葉が飛び交うようになり、被害者支援が社会的に大きな関心事となっています。私自身もいささかではありますが、心に痛手を受けた経験を持っていることから、支援要請には誠意をもって取り組んでいます。今後とも、皆様の温かいご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。

 

センターの主な行事予定

 

■被害者支援セミナーステップII「読書会」

13年1月23日(火) 午後4時〜同7時

「当センター研修室」

■平成12年度第2回理事会・同第1回総会

13年2月16日(金) 午後1時〜同4時

「グランドアーク半蔵門」

■被害者支援シンポジウム

13年3月8日(木) 午後1時〜同5時

「グランドアーク半蔵門」

■被害者支援キャンペーン

13年3月下旬実施予定

 

 

 

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