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(4) ワカメ場

表4.2.3に示したワカメの生育条件からワカメ場の成立可能性海域を推定した。

水温については、上限値が27℃、塩分は約24psuが下限とされている。

光量については、生育層の平均値から80μE/m2/sが生育限界になるものと考えられる。

以上のことから、生育環境条件として、以下の条件を満足する海域を求めた。

・水温;海底直上層の夏季水温が27℃以下

・塩分;海底直上層の年間の塩分が24psu以上

・光量;海底直上層の年間の光量が、80μE/m2/s以上

 

これらの条件を満たす海域は、図4.4.4に示すように、市川・船橋地先から湾口部まで広い範囲にわたる。これは、低塩分に対する耐性が強いことが関係している。

図4.1.1(3)に示した実際のワカメ場は、東京湾では湾口部にわずかに見られるのみであり、推定結果と異なっていた。

湾奥から富津岬北側までについては、底質が砂泥質の海域であることから、付着基盤となる岩礁がないことが主な理由と考えられる。

また、富津岬以南、横須賀市沿岸については、ワカメよりもアラメ等が優占しているために、他の藻場に分類されていた可能性がある。なお、富津岬以南、横須賀市の沿岸では、ワカメ養殖が営まれれていることから、少なくとも生育には適した海域と考えられる。

 

(5) オゴノリ場

表4.2.3に示したオゴノリの生育条件からオゴノリ場の成立可能性海域を推定した。

塩分は約24psu以上が適値とされており、低塩分でも生長が速いとされる。

光量については、100μE/m2/s以下で生育を阻害するとされている。

以上のことから、生育環境条件として、以下の条件を満足する海域を求めた。

・塩分;海底直上層の年間の塩分が24psu以上

・光量;海底直上層の年間の光量が、100μE/m2/s以上

 

これらの条件を満たす海域は、図4.4.5に示すように、湾奥部から湾中央部にかけての広い範囲にみられる。

図4.1.1(3)に示した実際のオゴノリ場の分布と比較すると、湾奥部、富津岬の北側にはオゴノリ場はほとんどなく、推定結果と異なっていた。

湾奥部については、前にも述べたように、出水時の影響が加味されていないこと、アオサ類等の競合種が集積することがあり、これらがオゴノリの生育を阻害しているものと考えられる。

また、富津岬の北側は、アマモ場(コアマモも含む)があり、アマモによる生育場の占有によりオゴノリ場が形成されていないものと考えられる。

 

 

 

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