(2) ガラモ場
表4.2.2に示したホンダワラ類の生育条件からガラモ場の成立可能性海域を推定した。
ホンダワラ類については、種類によって異なるが、水温については、夏季の上限が27〜28℃とされる種類が多い。
塩分は、アカモクが比較的低塩分に対する耐性があり、約27psuが生育限界とされるが、他の種類は全て30psu以上が生育条件とされている。
光量については、アカモク以外では十分な知見が得られなかったが、アカモクの場合、幼体の生長に好適とされる50μE/m2/s程度が生育限界になるものと考えられる。
以上のことから、生育環境条件として、以下の条件を満足する海域を求めた。
・水温;海底直上層の夏季水温が28℃以下
・塩分;海底直上層の年間の塩分が30psu以上
・光量;海底直上層の年間の光量が、50μE/m2/s以上
これらの条件を満たす海域は、図4.4.2に示すように、富津岬以南の沿岸域、横須賀市沿岸域にみられ、塩分と光量の寄与が大きい。
図4.1.1(1)に示した実際のガラモ場の分布と比較すると、富津岬から南の湊川付近まで、横須賀市の南側では実際にはガラモ場はほとんどなく、推定結果と異なっていた。
富津岬から南の湊川付近までの海域の底質は、砂質であり、ガラモが固着する岩礁が存在しないことが理由と考えられる。また、横須賀市の南側については、優占種がアラメであることからアラメ場と分類されているが、ホンダワラ類も生育している可能性がある。
(3) アラメ場
表4.2.3に示したアラメの生育条件からアラメ場の成立可能性海域を推定した。
水温については、上限値が27℃、塩分は30psuが上限とされている。
光量については、生育段階によって異なるが、胞子体の生長適値とされる70μE/m2/sが生育限界になるものと考えられる。
また、流速は、着生後には速いほうが生育に適しているといわれているが、遊走子が着生する条件としては10cm/s以下とされている。
以上のことから、生育環境条件として、以下の条件を満足する海域を求めた。
・水温;海底直上層の夏季水温が27℃以下
・塩分;海底直上層の年間の塩分が30psu以上
・光量;海底直上層の年間の光量が、70μE/m2/s以上
・流速;海底直上層の年間の流速が、10cm/s以下
これらの条件を満たす海域は、図4.4.3に示すように、富津岬以南の沿岸域、横須賀市沿岸域にみられ、塩分と光量の寄与が大きい。
図4.1.1(2)に示した実際のアラメ場の分布と比較すると、富津岬から南側では実際にはアラメ場はほとんどなく、推定結果と異なっていた。
富津岬の南側の底質は砂質であり、アラメが固着する岩礁が存在しないことが主な理由と考えられる。