5) 解析結果
(1) 流況
流況については、四季の上げ潮、満潮、下げ潮、干潮時及び潮流成分を除いた平均流を解析した。
四季の表層における表層流の分布を図4.3.3〜図4.3.6に示した。
四季をとおしてみると、富津岬以南の東京湾口部の流速が大きい。また、湾奥から湾中央部の流速は湾口部に比べると小さいが、秋季から冬季にかけては、季節風の影響により川崎沖、市原沖では比較的流速が大きくなっている。
四季の表層における潮時別流速分布を図4.3.7〜4.3.22に示した。
下げ潮時には、湾口へ向かう南下流が卓越し、上げ潮時には湾口から湾奥へ向かう北上流が卓越しており、富津岬周辺の流速が大きい。また、湾奥部では全般に流速は小さいが、秋から冬にかけては市原沖から川崎沖にかけて、下げ潮時には約30cm/s程度の比較的早い流れがみられる。
(2) 水温
四季の表層及び海底直上層における水温分布を図4.3.23〜図4.3.30に示した。
春季は、湾奥から湾口まで大きな差異はないが、表層では荒川等の大河川が流入する湾奥部と富津周辺が比較的低い傾向を示す。夏季も表層については春季と類似した分布を示すが、夏季には成層が形成されるため、最下層の水温は水深の深い川崎沖がとくに低くなっている。
秋季はから冬季には湾口で高く、湾奥で低い特徴を示し、冬季に顕著であった。
(3) 塩分
四季の表層及び海底直上層における塩分分布を図4.3.31〜図4.3.38に示した。
四季をとおして、大河川の流入する湾奥が低く、湾口にかけて高くなる特徴がみられる。また、湾中央部の最下層については、水深の大きい川崎沖が比較的高い傾向を示した。
(4) 光量
四季の海底直上層における光量の分布を図4.3.39〜図4.3.46に示した。
四季をとおして、干潟・浅海域の分布している荒川河口(三枚洲)、市川・船橋周辺(三番瀬)、木更津周辺(盤洲干潟)、富津岬周辺の光量が多い傾向を示す。また、季節別にみると、夏季は光量が少なく、冬季が多い傾向を示し、夏季にはプランクトンの発生等により光の減衰が大きいためと考えられる。