a) DINおよびDIP
河川別の栄養塩負荷量が明らかでないため、公共用水域の河川調査で得られた下流測点T-N、T-P濃度に対するDIN、DIP濃度の割合を調べ、公共用水域に記載されている河川についてはその値を、他の河川については全測点の平均値をT-N、T-P負荷量に乗じ溶存無機態窒素、リンの負荷量とした。
春季: DIN/T-N=0.781、DIP/T-P=0.662
夏季: DIN/T-N=0.774、DIP/T-P=0.684
秋季: DIN/T-N=0.811、DIP/T-P=0.668
冬季: DIN/T-N=0.797、DIP/T-P=0.684
b) POCおよびDOC
懸濁態、溶存態へのCODの配分は、東京湾内のPOCとDOCの現存量比を参考に、POC:DOC=1:5程度になるようにCODの負荷量(qCOD)からPOCとDOCの負荷量(qPOC、qDOC)を算定した。
春季: qPOC=0.185×qCOD、qDOC=0.529×qCOD
夏季: qPOC=0.163×qCOD、qDOC=0.552×qCOD
秋季: qPOC=0.120×qCOD、qDOC=0.598×qCOD
冬季: qPOC=0.143×qCOD、qDOC=0.401×qCOD
c 底泥の酸素消費と栄養塩溶出
底泥酸素消費は夏季の内湾底層の貧酸素化要因として、また栄養塩溶出は陸上からの負荷とならび湾内の物質動態に寄与する要因として重要であるが、測定データの報告例はほとんど見当たらない。ここでは、東京湾内湾部の底生動物分布を参考にして酸素消費速度、窒素、リン溶出速度の空間パターンを設定し、底層水質の計算値が観測値に近づくまで試行を繰り返す方法でそれぞれの値を類推した。
d 生物パラメータ
生態系モデルには、物質循環過程を記述する数多くのパラメータが含まれているが、それらの大部分は既存文献から設定した。設定値の一覧を表4.3.3に示した。以下に主要なパラメータの一つである光消散係数について説明を補足しておく。
e 湾口境界値
公共用水域水質調査による湾口付近の観測値から境界条件を設定した。各項目とも表層と底層の観測結果から鉛直分布を推定している。