女性の救出の成功に気がつくと一斉に拍手が起こった。全力を尽くした日本チームに、そして最後まで希望を捨てなかった要救助者の女性に。
この作業を通して次のことを感じた。まず一つ目は、人間の生命力。我々は何人もの犠牲者を見てきた。この結果、「もう、生きている人はいないのではないか。」という気持ちがあったように思われる。彼女はこの点に関して身を持って否定し、我々(私だけかもしれないが)を戒めた。
そして、もう一点。救助は「やっつけ仕事ではない。」ということ。当たり前のことである。我々は消防、海保混成のチームであり、当初その組織力が問われるチームであった。しかし、「生存者を救助したい。」という「心」で一つになった。消防、海保と組織が違っても、この「心」で一つのすばらしい救助チームになれることを再認識した。
4. 最後に
JDRが派遣される時は、海外で長期間にわたる作業をしなければならない。特に現地入りしてからは徹夜での作業が予想される。時差や気候の違い、水・食料の違いとも闘わなければならない。個人の健康管理、特に下痢には気をつけなければならない。また、作業にかかると疲労が回復することはない。食事も栄養価の高いものがあるとは限らないので必要に応じてビタミン剤などを利用すると良いだろう。私も今回ビタミンC、ビタミンBの錠剤を携行した。気候の暑い地方へ行く場合は脱水にも気を配らなくてはならない。今回、医療チームの医師より「水は小便が出るまで飲め」と言われたことがあった。電解質のバランスを保つためにポカリスエット等も必要である。
風呂や洗濯もいつできるか分からない。洗濯はできる時にやり、下着類は予備を多めに持って行くのが良いと思われる。洗剤は必需品である。また、体の清潔を保つことは病気を防ぐために必要である。シャワーに入れるようであれば、必ず入るようにすること。伝染病予防にもつながる。
器材は基本的にJICAが準備したものを使う。こちらから持って行く必要があるものは万能ナイフ、サバイバルナイフ、キャップライトなどである。キャップライトはJICAのものもあるが、やや暗い感じがする。その他については派遣場所、災害の種類等を考慮し決定すれば良い。最後に必要と思われる器材のリストを添付する。