4. 専門家活動
我が国による協力は1995年から開始され、これまでに国際協力事業団を通じて3人の長期専門家が、マレイシア工科大学の沿岸海洋工学研究所(Coastal and Offshore Engineering Institute; COEI)に派遣されている。
COEIは、教育と研究の両面を持ち、さらに政府機関および産業界に対するコンサルタントとして、沿岸海洋工学の分野における先進的技術・理論を研究開発するために、マレイシア国唯一の機関として、1990年8月にマレイシア工科大学のクアラルンプールキャンパスに設立された。なおUTMの本校はジョホールバルのスクダイキャンパスである。
COEIでは、港湾浚渫の工法や機器の開発、材料試験、港湾開発等に係る現地調査、水理模型実験、数値シミュレーション並びにそれらに係る人材育成等を行っている。最近では、港湾開発等の大規模プロジェクトに対する総合的な環境アセスメントやフィージビリティ・スタディにも積極的に取り組んでおり、調査依頼も増大傾向にある。
派遣専門家の活動として次のようなことを実施している。
(1) 国立海洋データセンターの設立支援
マレイシア国内の海洋調査関係者の海洋データ交換に関する意識を高めるため、セミナーの開催や海洋調査調整委員会などの会議への参加等によりデータ交換・相互利用に対する啓蒙活動を行うとともに、マレイシア国内の関係機関がどのような目的のもと、どのような調査を実施し、どのようなデータを保有しているかに関する情報を収集・整理し関係者に提供することにより、データ交換の促進を図ることとしている。最近の活動では、海洋データ交換の活性、国立海洋データセンターの設立のためには、研究者間の意識の向上及マレイシア国内に留まらず周辺国との協力も不可欠であるとともに、最新の研究者のニーズを把握することが重要であることから、IOCとの協力により、1999年11月1〜4日の間、マレイシアのランカウイ島において「西太平洋域国際海洋データ情報交換国際会議」を開催した。