円借款の原資となる財政投融資資金等は、当庁と関係ないので、一般会計予算のそれを挙げると、10,489億円である。この内、外務省のODA予算は、5,602億円であり、ここからJICAの予算が割り当てられている。平成12年度では、1,792億円である。また、平成12年度ODA一般会計予算10,489億円の内、運輸省にも、約7.5億円が割り当てられている。
援助を行うにあたっては、わが国は相手国からの正式な要請を受けて行う、いわゆる要請主義の立場を原則的にとっている。つまり、まず開発途上国政府から日本政府に対して要請が出され、それに基づく検討、協議を経て実施されるというものである。しかし、最近では相手国側からの要請を待つだけでは積極的な援助が展開できないということから、プロジェクトの発掘段階での協力にも力が入れられるようになってきている。
4. ODAによる海上保安庁の国際協力の概要
前述したような我が国のODAの目的及び必要性は、そのまま海上保安庁の国際協力の目的と必要性になりうるが、特に具体的に述べれば以下のとおりである。
(1) 目的
開発途上国における海上保安機関の技術の向上を図りきれいで安全な海を創出することにより、開発途上国国民の生活向上に役立てると共に各国船舶の航行の安全並びに環境の保護に貢献することである。
(2) 必要性
・安全な海上交通を通じ日本の安全保障を確保する。
開発途上国、特に東南アジア、東アジア諸国の海域は、我が国海運の主要ルートであり日本の生命線ともなっている。原油や食料等多くの資源が、これらの海域を経て日本に運ばれていることから、海上交通の安全はそのまま日本の安全保障に通じるため、開発途上国への技術協力を通じこれら海域の安全を確保することは、日本の安全保障上の観点から非常に重要である。
・途上国における効率的な海運・漁業活動は日本経済的発展にも利する。
東南アジアや南太平洋の途上国には島嶼国が多く、海は海運や漁業のみならず観光資源としても、国民の経済活動の主要な舞台となっている。