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当庁は、直ちに総務部国際課及び警備救難部合同の特別の作業チームを発足させ、半年の準備期間を経て、本年4月27―29日には各国長官級の参加者を得た国際会議の東京での開催にこぎつけました。これに先立ち、3月にはシンガポールで局長級の準備会合を開催し、当庁から出席した久保田警備救難部長(当時)が会議をリードし、本会場への報告案の作成にあたりました。海賊対策国際会議では森総理、二階運輸大臣の臨席を賜り、荒井長官が議長を務めるなか、2日間にわたる議論ののちにアジア海賊対策チャレンジ2000を採択して終結しました。同会議には、各国からトップクラスの幹部の出席を得ました。韓国海洋警察庁長官、インド、シンガポール及びフィリピンコーストガード長官をはじめ、各国警察機関、運輸省、海軍等からも海賊取締り・救難業務担当の幹部が出席しました。同会議の開催に当たっては、日本財団の支援と日本海難防止協会の技術的助力を得ました。なお、3日目にはこれら会議への参加者をロシアの国境警備庁の艦艇も初めて参加した当庁の観閲式にそろって招待しました。海上保安庁が自らのイニシアティブで大規模な国際会議を開催するのも初めてなら、洋上で各国海上保安機関のトップが会するのも初めてのできごとであると言えましょう。

アジア海賊対策チャレンジ2000は、公海上での海賊及び洋上の武装強盗事件が発生した際の、各国間の協力についての基本的事項について合意したガイドラインとも言うべきものです。チャレンジの中では、本問題についての国際協力の必我性についての認識の共有を確認し、各国の取締りの強化、事件の発生から訴追にいたるまでの即効性のある国際協力の枠組みについて述べるとともに、外交ルートによらない各国機関とのオペレーショナルな情報交換窓口の設定を行いました。この窓口は、先般、グローバル・マーズ号が香港近辺で発見されたときの中国当局との情報の確認に、早速、有効性を発揮しました。

海賊対策での主な当庁の対処の基本は、海賊対策を自力で行う能力を既に有する国の機関とは相互に連携し、親善訪問や合同訓練、協調した行動の実施などを通じて協力関係を強めると同時に、今後、更に能力の向上を図る必要のある国の機関に対しては、可能な援助を当庁として差し延べることにあります。具体的な援助の内容については、今後、関係省庁と相談しつつ詰めていくことになりますが、その大要については、海賊会議の「チャレンジ」に添付された、日本のステートメントに述べるとおりです。

 

 

 

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