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明日への提言

 

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笹川鎮江

 

吟剣詩舞も伝統芸能として後継者の育成は、まず、子供さんから

 

二月三日(土)、四日(日)の二日間にわたって、東京・臨海副都心の船の科学館オーロラホールで、財団主催による全国の剣詩舞指導者等一七三名が参加する平成十二年度剣詩舞道大学大学院が開催されました。

剣詩舞世話役の皆さんの希望で組まれた大学院のカリキュラムには、沖縄舞踊、モダン・バレエ、狂言などの講義が盛り込まれ、二十一世紀を迎えた剣詩舞指導者の意気込みを感じさせる素晴らしい大学院となりました。

私も開講式の学長挨拶から、閉講式の修了証書授与まで総ての講義に出席しましたが、中でも、二日目に行われた狂言大蔵流東次郎家四世の山本東次郎則寿(のりひさ)先生のお話と舞のご講義が印象に残りました。山本東次郎先生は、重要無形丈化財総合指定を受けられ、平成十年には紫綬褒章も受章された狂言の第一人者としてご活躍の先生です。お伺いするところによれば、お父さま(故・三世山本東次郎則重先生)のご薫陶よろしく、昭和三十九年には、弟さんたち、(則直、則俊さま)と、三兄弟そろって芸術祭奨励賞を受賞されたことを知りました。厳しい修業の結果、今日の芸域に達せられたのであろうと思いますが、ご一門を挙げて狂言という日本の伝統芸能を護っておられるお姿に感銘いたしました。

また、異色の講義となりましたが、私の吟詠(「春望」杜甫作)にモダン・バレエの振付をして二人のお弟子さんと一緒に踊っていただいた舞踊家・金森勢先生の息子さんも、モダン・バレエで海外留学をされ、現在、若手舞踊家として前途を嘱望される青年であると伺いました。

吟剣詩舞の宗家、会長もご自分の後継者の育成に力を注がれているところと存じますが、その成功例が物語りますように、まずは、子供さんへの伝承が最優先として考えられなくてはならないと考えたのでございます。

 

 

 

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