伊藤竹外先生プロフィール
愛媛漢詩連盟会長、(16吟社、会員200名、毎月指導、添削)、六六庵吟詠会総本部会長(吟歴58年)、財団公認愛媛県吟剣詩舞道総連盟理事長、財団法人日本吟剣詩舞振興会理事
平成5年 文部大臣地域文化功労賞
平成8年 財団吟剣詩舞大賞功労賞
著書 豫州漢詩集(編著)、南海風雅集(編著)(2版)、漢詩入門の手引き(10版)他。
一、二十一世紀への挑戦
多事多難であった二十世紀を乗り越えて新しい世代を迎えました。
戦後の吟界は幾多の各流、各派の指導者によって敗戦の混乱から立ち直り、特に笹川良一、鎮江両先生の陣頭指揮によって働日本吟剣詩舞振興会が結成せられてより画期的な吟詠文化の躍進を遂げてまいりました。
一方、漢詩壇は江戸末期、明治初期の隆盛から、欧化思想への転換によって追々衰微に向いましたが、戦後、宮崎束明先生が吟詠家に漢詩をすすめ、更には太刀掛呂山先生の「山陽吟社」、高橋藍川先生の「黒潮吟社」他、先駆者の努力こよって同好者が増加し、三年前香川県に於ける国民文化祭に漢詩大会が開催されたときは全国よりの投稿詩が一、三〇〇篇を超え、漸く奎運の挽回が期待されるに到りました。今年は群馬、来年ま鳥取県の国民文化祭に漢詩大会が開催されることになっています。
愛媛漢詩連盟は県、市町村の協力を得て年々漢詩大会を開催し、今でょ十六吟社、二百名の会員に充実しました。
更なる願いは四国連盟、全国漢詩連盟への呼びかけてあります。二十一世紀を迎えた今年こそ、吟剣詩舞界の協力を得て洋々たる前途に挑戦すべきものと思います。
二、「辛巳(しんし)新年書感」の課題について
漢詩界のしきたりとして年頭の課題はその年の十干十二支を冠した新年作が殆んどですが、毎年の背景も感懐もまず似たりよったりですから年々同じ内容で作り、年賀状に賦す詩も大同小異です。
今年は特に二十一世紀を迎えたのですから多少趣きの変ったものを期待しましたが、旧来の詩語表を採ったものが多数見受けられました。例えば次の詩など相当の年季を積み力量のある作家と思われます。