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吟詠の更なる発展のための提言

舩川利夫先生に聞く

吟詠上達のアドバイス―第47回

 

ここ数年の吟詠は、発音、アクセントともに明確化と画一化がかなり進み、詩文内容がよく聞き取れるようになりました。そこをもう一歩突っ込んで、言葉の中に同居している子音と母音がどのような性格を持ち、どう発音すればさらに高度な吟詠になるか、のお話です。

 

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舩川利夫先生のプロフィール

昭和6年生まれ。烏取県出身。米子工業専門学校卒。箏曲家古川太郎並びに山田耕作門下の作曲家乗松明広両氏に師事、尺八演奏家を経て作曲活動に従事。現代邦楽作曲家連盟会員。若くして全日本音楽コンクール作曲部門一位、NHK作曲部門賞、文部犬臣作曲部門賞などを受賞されるとともに平成4年度(第8回)吟剣詩舞大賞の部門賞(吟剣詩舞文化賞)を受賞されている。数多い日本の作曲家の中でも邦楽、洋楽双方に造詣の深い異色の作曲家として知られる。おもな作品に「出雲路」「複協奏曲」その他がある。また、当財団主催の各種大会の企画番組や吟詠テレビ番組の編曲を担当されるとともに、夏季吟道大学や少壮吟士研修会などの講師としてご協力いただいている。

 

読み下し詩文の子音と母音の区別、発声の仕方について

 

声の誕生と増幅の仕組み―復習

今月の主題に入る前に、一つ復習しておきます。読者から送られてきた質問を見ていますと、これまでにお話した「声が出る仕組みと、共鳴させる仕組み」が混線している方が多くいらっしゃるようです。簡略に説明しますと、人が吐く息(呼気)がノドを通るとき、声帯(ノド仏の内側にある小さな器官)が複雑振動を起こし、音の波ができます。雑音のような音波は咽喉や口腔を通るとき、それがフィルターの役目をして吸収され、音声が取り出されて聞こえるようになる。ですからいわゆるダミ声の人は多分このフィルター装置がうまく働かない人なのでしょう。

ノドで生まれた声そのものは小さな音にしか聞こえません。ちょうど音叉を振動させても耳へ近づけないと聞こえないのと同じです。この小さな音を大きく、よく響くように増幅させる仕事が共鳴という仕組みです。ギターで言えば薄い木板で囲まれた箱が共鳴を起こす共鳴体、これが元の音に反応して強い振動を起こします。人で目えば頭(口腔、鼻腔、頭蓋など)胸(胸郭、胸筋、背筋など)腹(腹筋、臓器など)が主な共鳴体です。

共鳴という現象は、ある決まった周波数にだけ強く反応するものですから、人体の共鳴体がどの高さの音にも即応するわけではありません。その上、発音する口のあけ方によっても共鳴の仕方が違ってきます。これを克服して、どうしたらいつでも同じようにきれいに大きく共鳴させることができるかというところに、皆さんの苦労があるわけです。つまり、どの音程にもすぐに共鳴の態勢がとれる、適度な強さと柔軟生を持った筋肉となるような鍛練が欠かせません。また、力みすぎ、特にノドの周りの筋肉に力を入れると、固くて小回りのきかない声になるので、全身の脱力を体得する。さらに今回の主題である母音と子音、つまり日本語を冷静に分析してみる、等が要求されるのです。

ここで共鳴について、一部の方に誤解があるので付記しておきます。それは、共鳴によって作られた大きな声と、ただ呼気を勢いよく出す声と同じに考えている方がいらっしゃるということ。

 

 

 

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