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吟詠のさらなる発展のための提言

舩川利夫先生に聞く

吟詠上達のアドバイス―第46回

 

師走―。この欄で取り上げる話題の中には、多少難しい主題などもあり、読者からは「もっとやさしく…」との要望を頂いたりします。一年を締めくくる今月号は、年間に取り上げた提案などを振返り、読者の皆さんの反応を織りまぜて、肩の凝らない“放談”調でお願いしました。

 

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舩川利夫先生のプロフィール

昭和6年生まれ。鳥取県出身。米子工業専門学校卒。箏曲家古川太郎並びに山田耕作門下の作曲家乗松明広両氏に師事、尺八演奏家を経て作曲活動に従事。現代邦楽作曲家連盟会員。若くして全日本音楽コンクール作曲部門一位、NHK作曲部門賞、文部大臣作曲部門賞などを受賞されるとともに平成4年度(第8回)吟剣詩舞大賞の部門賞(吟剣詩舞文化賞)を受賞されている。数多い日本の作曲家の中でも邦楽、洋楽双方に造詣の深い異色の作曲家として知られる。おもな作品に「出雲路」「複協奏曲」その他がある。また、当財団主催の各種大会の企画番組や吟詠テレビ番組の編曲を担当されるとともに、夏季吟道大学や少壮吟士研修会などの講師としてご協力いただいている。

 

よい循環をつくろう―この一年を振返る―

 

嬉しい読者の反響

ものごとを易(やさ)しく話すのは難しいですね。特に音階の話などとなると#や♭が出て来たり、あちら語を使わないと説明できなかったりで…。こうした説明は必要最低限に留めるようにしているのですが、すかさず「難しい」という葉書を頂きました。

でも、読者の皆さんからの便りは、とても励みになるし、今後のためのよい材料にもなります。例えば十月号で「吟詠は無理なく、気持ちよく」ということを話しましたら、「これからは安心して自分の声で吟じることができる」という内容の便りをたくさんもらいました。吟を勉強している人は根が真面目な人が多いんですね。だからコンクールでいい成績を取ることを真っ先に考えてしまう。しかし吟は趣味でやっている人がほとんどですから、まず自分で楽しむことを考えるべきですよ。“私はどうして高い声が出ないんだろう”などと悩みながら吟じても、少しも楽しくない。かえってストレスの種になったら逆効果です。

こんな内容もありました。「先生お奨めのストレッチングと筋力づくり、声を出す前に欠かさず実行しています」と。こんなときは、お話した甲斐があったなと嬉しくなってしまう。(編集係注=本年5月号「ストレッチングで、しなやかな吟詠」。同6月号「からだづくり運動プログラム」。同7月号「声の量を正しく調節」)

 

高齢化は共通の悩み

でも正直言って、これ(体づくりのこと)を続けている人ほとんど居ないんじゃないですか?だって二、三の流派の人に聞いたら全然やっていないって言ってました。なぜかというと、あれを真面目にやると、お稽古の前にくたびれて声が出なくなっちゃう、というんですよ。吟詠愛好家の平均年齢は着実に上昇しているなと実感しましたね。

 

 

 

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