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'01剣詩舞の研究 5] 一般の部

石川健次郎

 

剣舞「和歌・敷島」

詩舞「桜祠に遊ぶ」

 

剣舞

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◎詩文解釈

この和歌の作者本居宣長(一七三〇〜一八〇一)は江戸時代後期の国学者で、特に古典研究の学問に長じ「古事記伝」を著わしたことは有名である。

ところで、この和歌の意味は『日本人の“心”とは一体何であろうかと質問をうけたので、それは朝日に照り映えて絢爛と咲き誇り、また吹雪かと見紛(みまご)うばかりにいさぎよく散っていく山桜の花のようである、と答えた』と云うもの。

さて、この和歌に詠み込まれた“日本人観”を更に追求するために、作者宣長の古典研究について述べると、彼は古事記伝と同時に復古思想の体系を完成した。復古思想とは、古い歴史(古代史)の伝えを忠実に信じ、天皇の徳のもとで一つに団結することを理想とした一種の神道説である。こうした思想で詠まれたとするこの和歌には「日本人は古くから君を敬い、国を愛する精神が強い国民だから、困難に出会ったならば、人々は一致団結して立上り、いさぎよく散る覚悟を持っている」といった解釈が、特に戦時下には強かった。

一方宣長は古典文学にも造詣が深く、特に源氏物語の研究で得た“もののあわれ”の文学的主張などからこの和歌を考えると、民族の精神性(情緒性)と云うものは、その国の地域性や生活条件により異なるものだから、日本人独特の美学である「花・鳥・風・月」を賞でる心が、大いにうたいあげられている事もわかる。

 

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山桜(吉野山)

 

◎構成・振付のポイント

この和歌を、昭和五十八年度に「詩舞」の指定吟題として取上げたが、その時は「桜花」に対する美学的な表現を中心に舞踊構成を考えた。振付は当然「扇」の振を多く使い、自然界の桜の開花や散る様子を通じて日本人の心を表わした。然し今回は「剣舞作品」として「剣技」を構成振付の主流にしたいと考え、従って前項で述べた日本人の忠君愛国観を武士道の精神に結びつけることも考えた。

登場人物は物語りなどを参考にして特定することも出来るが、そうしたイメージがなくても、演技者の年代にふさわしい武人を想定した方が説得力があろう。

次にその一例を参考に述べると、前奏から中央正面に向って、武士の格調で帯刀、指し扇で登場する。最初(一回目)の和歌前半では、扇を開き首左右、達拝(たっぱい)などの動作から、舞台一ぱいに巡回して再び正面に戻り扇を帯にさす。和歌後半からは剣技に移り、先ず正面に抜き付けの型を見せ、続いて連続技で四方に切り込んだ後に、刀身を捧げた型を見せて納刀する。

 

 

 

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