伊藤竹外先生プロフィール
愛媛漢詩連盟会長、(16吟社、会員200名、毎月指導、添削)、六六庵吟詠会総本部会長(吟歴58年)、財団公認愛媛県吟剣詩舞道総連盟理事長、財団法人日本吟剣詩舞振興会理事
平成5年 文部大臣地域文化功労賞
平成8年 財団吟剣詩舞大賞功労賞
著書 豫州漢詩集(編著)、南海風雅集(編著)(2版)、漢詩入門の手引き(9版)他。
一、吟詠会の将来は構成吟に在り
前月、本欄において全国の構成吟舞の在り方について、従来の「詩吟物語り」的陳套を論じました。
ところが先日、藤上南山作舞第二十六回リサイタルを岡山県まで駆けつけ拝見し修正を加える要を感じましたので補足します。
その企画、構想、演出の非凡さと相侯って新しい自作詩、文を駆使し、中には旧題も採り上げていましたが、それぞれ舞台装置、照明を背景に演技が抜群で僅か二時間半の公演ながら終始感動しました。毎年の上演で常に新機軸を生み出すことは容易ではなく、藤上南山先生の創作意欲に満腔の敬意を表するところであります。
今、吟界の低滞に対し、剣詩舞界は新しい芸術の開拓に努めつつあり、共感する女生群を加えて更に充実、発展の勢いに乗じています。
漢詩界も単なる模倣から脱して現代を詠ずる創作意欲を盛り上げて欲しいと思います。
二、吟詠大会席上作について
前記の創作意欲を盛り上げるための一環としての課題でしたが、全国から寄せられた作品を拝見するに、その意に適し、精彩のあるものは乏しく大半は朱筆を加えざるを得ませんでした。
愛媛県吟詠連盟では今年五十周年大会開催に際し大会賀詩を募集中ですが、全国の吟詠大会では見ることのできない約九十余篇を集めプログラムに掲載せんとしています。
今後も同題で作る機会も多いと思いますのでその作詩要領を述べておきます。
三、大会賀詩の作り方の要点
イ、賀会の特徴を把握して表現のこと。
ロ、大会の情景が彷佛たること。
ハ、その会の渕源、背景を述べる。
ニ、大会場所の風景を添える。
ホ、大会当日の季節を詠みこむ。
右記のニ、ホを起承句で述べ(ホ、ニの順序でもよい)、転結で大会の盛況ぶりと吟剣詩舞の溌刺たる情景で締めくくる。(以上は大会賀詩のみでなく「寿賀」「賀婚」なども同じ要領で作ること。
四、大会賀詩の欠点となるもの
イ、結句に理屈を述べない(割り切れる語はさけること)
ロ、吟詠大会の情景のみ三行も四行にも及ばないこと。
ハ、起承句の脈絡、転結の脈絡、而して首尾一貫たること。
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