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吟剣詩舞だより

 

第三十一回財団公認山口県吟剣詩舞道大会を終えて

三月十二日(日)午前十時から山口県玖珂郡・周東町文化会館(通称パストラルホール)に於て第二十一回財団公認山口県吟剣詩舞道大会が開催されました。

引受地区は山口県東部(俗に岩国地区)であり、大会準備事務局及び大会開催に際しての大会運営委員長には光峰流吟道周防地区連合会々長である木浦光山が当りました。前夜は霙(みぞれ)が激しく降っており、翌日の天候特に積雪などなければよいがと気遣われましたが、当日は山際(やまぎわ)に多少の残雪はあるものの路面に障碍はなく前夜の天候は嘘のように快晴の天気となりました。

午前十時開会の辞を述べるころ会場は満席でした。辺境の地に斯くまで多数参加して戴けたことに深い喜びを感じました。国歌斉唱、大合吟に引きつづき山口県連佐藤事務局長による大会要項説明があったのち、会員合吟があり、その後岩国地区の構成吟その一・その2が行われ、観衆は吟舞一体の素晴らしい展開に感動を覚え惜しみなく拍手をしました。

午後一時からの式典において本大会々長である山口県連理事長一木湖舟先生が挨拶され、最近屡々ニュースの伝える如く近時、人間の良心の頽廃崩壊は如何なるものか。我々吟詩、詩舞を究めんとする者は信義・誠実・友愛を信条とし礼と節とをもって基調とするものである。吟詩・詩舞の輪を広げ微力なりと雖も社会の思想の浄化、健全化に貢献したいものであると述べられました。

式典の終ったのち五人男性、五人女性及び十人の各合吟コンクールが行われ各流派共すべて活気ある発表でした。次いで会員、前年度優勝者、役員の各吟剣詩舞が行われました。閉会行事におする成績発表では入賞者の感動の声が場内に溢れました。

盛大な会を終えてほっとしました。今後共、日本吟剣詩舞振興会の御指導御後援の程よろしく御願い申上げます。

下(木浦光山)

 

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構成吟「静御前」吟詠は光風流、詩舞は菅源流の皆さん

 

長寿者の手本、詩舞で元気 九七歳、現役の加藤さん

「ボケ防止」は長寿者の合言葉。各人いろいろ試みているようですが、ここに紹介する女性の生き方とパワーには数々のヒントが隠されているようです。

愛知県豊橋市二川町・加藤かずさん(一九〇三年二月生まれ、九七歳)がその人。七十歳頃から独学で吟詠を始め、五年後の七十五歳で日本壮心流(入倉昭星家元)に入門、「体操代わりに」詩舞を習い出した(何歳でも、始めようと思い立った時が一番若いのです)。

かずさんの趣味はこの他に、大正琴、百人一首、和裁…と広範囲(好奇心と実行力)。

半面、かずさんは身障者の長女(七六歳)と二人暮らし。「娘を守るために」自宅近くの農園で長年働く傍ら、今でも家事、洗濯など全部一人でこなしている(心に張りと使命感を持ち、体をよく動かす)。

さて詩舞の出来はといえば、入門二年後の昭和五十六年から日本壮心流コンクールに毎年出場、昭和時代には技能賞など何回も入賞した(実りの喜び)。

かずさんは今、軽い身のこなしで詩舞を舞い、一方、吟詠では“腹式呼吸”を極めようと頑張っている(絶えざる向上心)。

当面の目標は「詩舞はとりあえずあと三回門松をくぐる(百歳)まで続けたい」(手が届く目標設定)―勇気づけられます。

(内容は東愛知新聞、昨年の敬老の日掲載記事を参考にしました)

 

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ポーズが決まる加藤かずさん(97歳)

 

NHK教育テレビ

五月吟詠放送

「吟詠・新緑にうたう」(仮称)

●放送予定 五月二十一日(日) 午後四時四五分〜五時〇〇分

●吟題と出演者

1] 和歌・淺緑(僧正遍昭)

<吟>笹川鎮江

2] 半夜(良寛)

<吟>笹川鎮江

3] 春簾雨窓(頼鴨?

<吟>河田神泉

4] 蘇台覧古(李白)

<吟>和田彩楓

5] 長安春望(盧綸)

<吟>土方春城

<吟>阿部吟鳳

<吟>海老澤宏升

 

五月NHKラジオ

FM吟詠放送

「邦楽のひととき」

●放送日時 五月十八日(木) 午前十一時〇〇分〜同三〇〇分

再放送 五月十九日(金) 午前五時二五分〜同五五分

●吟題と出演者

一、和歌・さつき待つ(詠人知らず)

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<吟>山中梅鈴

二、和歌・暮れて行く(寂蓮)

江上の船(嵯峨天皇)

<吟>北川哲水

三、立山を望む(国分青?

藤樹書院に過る(伊藤東涯)

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四、桂林荘雑詠諸生に示すその(三)(広瀬淡窓)

社友小集(福沢諭吉)

<吟>大野壮洲

五、書を観て感有り(朱熹)

事に感ず(于濆)

<吟>田邑嘉風

六、春望(杜甫)

<吟>増田鵬泉

 

 

 

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