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よく共鳴する身体にする=全身が楽器です。特に共鳴に深く関わる胸、背中、腹、腰などの筋肉を豊かにし、同時に胸郭を最大限に広げた状態にするため、よい姿勢を習慣づけたいものです。

 

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1] 両足カカトをつけハの字に組む

 

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2] 左足カカトを右足の土踏まずまで、ずらせる

 

立つ姿勢について少しつけ加えます。全身に無理な力を入れず、しかも声がよく響く姿勢をとるのは結構難しいものです。そこで、自然によい立位がとれるまで、次のような手順で姿勢をつくることを試してください。

まっすぐに立ったら両足のカカトをつけ、ハの字に組む。=写真参照=(効き足が右なら)左足カカトを右足の土踏まずまでずらせ、そのまま真っ直ぐに立つ。(力を抜いても、臍下丹田に意識が集中するのが実感できますか?)。次に腹を引く。尻を入れる。両足の位置を、男性はハの字に、女性は平行またはやや内股に開く。そのまま重心を下へ落とす。胸郭を広げる。これで出来上がり。初めはぎこちないでしょうが、何回も繰り返すと自然に脱力した状態で立てるようになります。

腹式呼吸についても付言しますと、吟者の中に、肩で息をする人が特に女生に多く見受けられます。深くて長い息は腹式からしか生まれません。女性は体のつくりが腹式に向いていないのと、和服の帯が邪魔をするのが原因と思いますが、なるべく早い時期に腹式を覚えてください。初めは仰向けに寝て、息を吐き切る、ついで瞬時に腹を脹らますようにして息を吸う、腹から絞り出すように息を吐く。これができたら、立って試してください。

 

名器は自分でつくる

これでおわかりのように、ほぼ全身を丈夫に保つ、欲を言えば筋力をつけることが必要となります。とは言っても急にトレーニングジムヘ通うことを奨める訳ではありません。日常の中で年齢相応に身体を動かす工夫をして下さい。吟道大学でおなじみ「とり舟体操」をする、今流行のNHK「みんなの体操」をやってみる、なるべく階段を使う、風呂上りに柔軟運動をするなど、あなたの生活習慣に合わせてどうぞ。肝心なのは無理せず、長続きさせることです。

「声が悪いのは親譲り」などと言う前に、先ずしなやかで安定した体づくりを目指していただきたい。無機質の楽器は、出来あがったときに名器か鈍器か決まってしまいます。しかし人の身体は年齢に関係なく進歩向上する可能性を秘めています。あなたは、もしかして潜在的名器の持ち主かもしれない(?)。

 

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