このような状況をみると、Uターン、Iターン促進のための施策は、それぞれの市町村が、それぞれに工夫すべき性格のものであって、全体に普遍的かつ統一的な施策の適用を目指すべき性格のものではないように思われる。
ただ、個別の市町村でフェアを催したり、マスメディアを利用するような宣伝活動を行うことは困難な面もあろうから、総務省ないし都道府県がフェアの開催、ガイドブックの編集発行について、これまで以上に努めるべきである。これらは、現在も(財)地域活性化センター等の協力・後援を得て行われているが、その方式で推進を図るべきであろう。
また、個別の市町村も、インターネットで情報を検索しようとするUターン、Iターンを考えている人が多いことを十分に認識し、それ向けのホームページをつくり、できるだけひんぱんに内容を更新しておくことに努めるべきであろう。
Uターン者は、座談会で紹介されている「地理学評論」所収の前掲江崎氏らの論文によれば、長野県の例で、1937年〜39年の出生者(仮りに第1世代とよぶ)、47〜49年の出生者(第2世代)、57〜59年の出生者(第3世代)別に、Uターン率{(学卒Uターン+転職(勤)Uターン)/(学卒Uターン+転職(勤)Uターン+三大都市圏残留)}は、高卒者で第1世代39.1%、第2世代67.0%、第3世代77.1%、大卒者で、それぞれ33.5%、48.4%、58.8%と増加しており、かつ、かなり高いという。(この場合のUターンはJターンが含まれる。また、調査票(数)の回収率(数)は全体で3,825通/12,000通の31.9%である。)
また、過疎対策担当職員研修会(平成11年9月2日)で(株)リクルート地域活性事業部マネージャー玉沖仁美氏の講演で述べられているように、過疎地域市町村は、マーケットの大きいIターン者をターゲットにすべきだと考えられる。
現地調査でのIターン者の発言からもみられるように、定住を決意するに至る決断には、過疎市町村役場職員等の説明や態度が決定的要因となっているようである。したがって、職員の研修や地域の世話役との接触においても、Iターンとの関係についての配慮をする必要がある。
4. コーホート人口の推移から得られる知見と平成12年国調結果による再検証の必要性
「平成10年度版過疎対策の現況」は、平成8年度版以降続けられている平成7年国調の数値までの過疎地域のコーホート人口増減率を図・表で示している(表7、図1)。