本村には、企業(工場)用地の適地がほとんどなく、企業誘致条例を定めていないが、これまでに2つの縫製工場を誘致して約60名の雇用を確保し、第3セクター「(株)いずみ」と「(株)氷川」を設立して約30名の雇用を創出した。UIターン者の中には、これらのいずれかで就業しているものがある。しかし、今後の就業の機会確保のための企業誘致がさらになされる可能性は余りないと考えられるのである。むしろ、ここで見たような、地元の資原や産業とかかわる小規模事業の奨励が地元雇用の確保につながると思われる。
また、このような条件の村にあっては、村役場自体が、UIターン者、とくにUターン者に職場を提供している。現在、村役場は村内最多の従業者を抱える事業所で、その職員は48名、出先機関や現業を含めると78名に上る。このうちのかなりの者がUターン者なのである。平成13年4月採用の役場職員(高校以上の新卒)を2名募集したところ、13名の応募者、村外からは、村内からの応募者6名を超える7名の応募者があったという。UIターン者の受け皿としての役場の果たす役割は小さくないのである。
(3) 村営住宅および宅地分譲・貸付
つぎに、UIターンによる定住希望者にかかわる住宅政策についてみることにしよう。そのひとつが、村営住宅であり、もうひとつが住宅地の分譲・貸付である。両者とも、先に見た『若者定住促進条例』とのかかわりがあり、UIターン者に住居を提供する点で、UIターンの促進にとっては、非常に重要な施策である。前に指摘したように、村内には、民間のアパートは11世帯分(2階建て、1階:車庫、2階:居住部分、2LDK)しかなく、地形や用地造成費等の点から、今後増える見通しはほとんどないと言っていい。UIターン者の住居としては集落内の空き家も考えられるが、空き家はあるものの、村としては、持ち主が賃貸を希望するかどうかまでも含めた詳細な実態把握をしていない。
(a) 村営住宅
村営住宅は、村の西部地域の人口の多い地区に、1戸建て(3LDK)2棟、2戸建て(3DK)3棟の計8戸があり、すべて入居済みである。これへの入居には所得制限があるので、村営住宅はすべてのUIターン者に入居可能なわけではない。入居8世帯・26人のうち、すでに村内に居住していた者の入居が4世帯・15人、Uターン者の入居が1世帯・1人、Iターン者の入居が、事例としてヒヤリングをした事例1のA夫妻一家3人を含めて、3世帯・10人となっている。UIターン者世帯は、あわせて4世帯・11人で、村営賃貸住宅はUIターン者の受け皿としても機能しているのである。また、村営住宅の入居世帯の世帯員を、入居の区分別、続柄別、年齢別に示したのが、第7表である。村内からの転居世帯と比べて、Iターン世帯の世帯主と妻には若年者が多いことが注目される。この点からも、村営住宅が、若年者のIターン定住に一定の役割を果していると言うことができよう。