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この表から、この村のUIターンの特徴がいくつか指摘される。まず第1に、UIターン者は、男女ほぼ同数であること。男女いずれかに偏っているわけではない。

第2に、年齢的には、21〜30歳の者が最も多く34.8%、次いで31〜40歳の者が17.8%を占めること。つまり、21〜40歳の若年者が半分余りをも占めているのである。一方、51歳以上の者も比較的多くて16.2%を占めているのも、また注目される。村役場の担当者によると、『近年、田舎暮らしブームに乗って、「村に空き家やアパートはないですか」「土地はありませんか」など問い合わせにお越しになる方が多く見られる。年齢層としては50代、60代の定年を間近に控えた高齢者が多い』ということである。比較的高齢な人のUIターンが、現実に徐々に進行していることが推測される。

第3に、UIターン者の前住地を県別に見ると、県内が最も多くて320人(74.8%)、4分の3をも占め、次いで福岡県39人(9.1%)で、これに他の九州6県(沖縄県を含む)を含めると63人(14.7%)となる。つまり、熊本県を含め九州からのUIターン者が、合計でほぼ9割(89.5%)を占める。そして、九州に比較的近い山口・広島の両県からもそれぞれ5人のUIターンがあるが、注目されるのは、東京都23人(5.4%)、神奈川県4人、千葉県2人、と、東京首都圏から(29人、6.8%)のUIターンが少なくないことである。これに比べて、阪神(大阪府・兵庫県各2人)、中京(愛知県2人)の大都市圏からのUIターンは少ない。これは、熊本県の、他県・他地域との経済的・社会的・人的な関係を反映していると見ることができよう。

さらに、今回の市町村に対するアンケート調査での久木野村のUIターンについての回答から、2、3の点を指摘しておこう。まず、UIターン者の主な職業(生計のたて方)については、多い順に、1位:役場・第3セクター等の公的機関勤務、2位:会社勤務、3位:年金生活、4位:工芸等の伝統技術の仕事、となっている。役場および観光関連の諸施設は村内での最多級の雇用機会を提供しており、UIターン者の就業先としては重要なものとなっているようである。3位の年金生活者も注目に値する。『「風光明媚で空気のきれいなこの村に是非、老後住みたい」と言われる方が多』い(今回のアンケートへの村の担当者の回答)、とのことである。そして、UIターン者には、広域圏の中心都市など近隣の市町村へ通勤している者が多い。また、UIターン者の住宅事情は、1位:実家に同居、2位:公営の1戸建て賃貸住宅、3位:1戸建ての持ち家、との回答である。

 

4. 『むらづくり基本計画』と『過疎地域自立促進計画』

 

さて、久木野村では、平成7年3月に『久木野村むらづくり基本計画』を策定している。そこでは、村の現状が次のように把握されている。近年の人口が安定的に推移しているのは、転出可能な若年層が転出してしまった結果である。したがって基幹産業である農業の担い手の高齢化が確実に進行し、若年層のUターンがなければ、「高齢者の死亡や都会の子供のところへ親が移り住むなど、やがて世帯そのものが消えてしまう」。「このまま農家が減り続ければ、…田畑の耕作が困難になり、耕作放棄、荒地の発生、土地売却、そしてその後の乱開発等が村の存立を様々に脅かす事態も危惧される。」ついで、「村のかかえる課題の構図」には、「乱開発の拡大→来住者の無秩序な増加→村の伝統の崩壊」と進み、さらには、村の誇りの喪失・村土の荒廃・村の景観の崩壊、に至る危険性が記されている。

 

 

 

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