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IV 翻訳事業

 

1. 必要書類および資料などの翻訳

 

2国以上にわたる国際的社会福祉事業に関わる仕事をしている当事業団においては、そのサービスを遂行していく上で翻訳事業が重要な部門を占めている。

まず、すべてのケースの基本であり、各ケースに先行するものとして日本国および相手国の法律の翻訳が要求される。しかし一口に法律といっても国籍法、戸籍法、養子縁組法、相続法、結婚・離婚に関する法律などケースによって異なる。またアメリカ合衆国、カナダ、オーストラリアなどは各州毎に州法があり、依頼者が法的居住地を有する州の法律が適用される上、法律の改正・修正が度々行われるので、常に最新のものを入手して翻訳する必要がある。

次に政府(相手国の政府も含む)発行の公的証明書類、審判書・判決書などの法的文書および公私にわたる報告書・調査書・通知書・その他の証明書や書簡に至るまで翻訳の種類と範囲は幅広くかつ複雑である。また一字の誤りがケース全体に影響を与えることもあるので慎重さと的確性が要求される仕事でもある。

現在、主として取り扱っている翻訳は国際および渉外養子縁組、結婚・離婚、子の認知・親権、本国送還、相続、親子・親族再会、行方捜しなどの多岐にわたるケースの援助・解決・手続きのために必要な公文書・私文書である。対象となる言語は、日本語、英語および業務提携しているフィリピン政府の公用語であるフィリピン語(一般にタガログ語と称する)が主であるが、必要に応じてスペイン語、タイ語などにも対応する。

翻訳担当者は場合によっては原文と翻訳した文書を公証人のもとに持参し、公証人の認証を受けた後、さらに外務省の証明を受ける業務も翻訳の一環として行う。

以上に加えて政治的・宗教的・民族的理由から東南アジア、中央アジア、アフリカなどから来日する庇護希望者に対しても翻訳や通訳による援助を行っている。

 

 

 

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