3. 難民および難民認定申請者への相談援助
本事業は、日本政府に難民認定の申請をするとともに、UNHCR (国連難民高等弁務官事務所)にもそれを申請受理された者に対する相談援助活動で、UNHCRの委託事業である。主な活動内容は、就職活動、住居探し、医療機関の紹介、日本語の習得、生活習慣の指導、家族の呼び寄せなど生活全般にわたる相談援助と精神的に不安定になっている人々へのカウンセリングなどの支援である。
1980年代後半、インドシナ三国(ベトナム、カンボジア、ラオス)以外のアジア、アフリカ諸国から難民として日本に庇護を求めて来日する人達が増加した。その人達は自国において人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であること、または、政治的な思想を理由に迫害を受ける恐れがあるために自国の保護を受けることが出来ないか、その自国の保護を受けることを望まず、他国に居住して、他国の保護を求める人達である。ISSJはこれらの人達を個別難民として、インドシナ難民(今は、難民といわず定住者という)と区別している。
難民の申請は申請者の住所または、現在地を管轄する地方入国管理事務所、支所、出張所で受理される。ISSJは、UNHCRを通じて援助を求める人達にその問題に応じて、必要な援助活動をする。求職活動の支援ケースを例にすると、ハローワークを利用できる場合、ハローワークへの同行、書類の記載、係員との対応、通訳支援、会社が面接に応じてくれるといえば、履歴書の作成の手伝い、面接に同行し就労条件についての話し合いの援助、もし、採用可能の場合は、本人が労働意欲を持ち続けるよう励まし、雇用主の不安や不満を聞き、対象者との仲介役などになる。しかし、すぐ採用という事は大変少なく、多くの場合数十回も就労先を求め求職活動の支援をする。
今年度、ISSJが関わったケースは、43ケース、56人で、国籍はアフガニスタン、イラン、イラク、インド、エチオピア、カメルーン、シリア、スリランカ、トルコ、ソマリア、チャド、パキスタン、ミャンマー、ロシアの14カ国と無国籍の人達である。
申請結果の状況は、申請結果を不安定な気持ちで待つ者、認定された者。難民としては不認定でも自国に帰国することは危険と判断され特別在留許可を得た者、不認定となり「異議申し立て」をして、それも却下され単なるオーバーステイとなった後、仮放免許可を得た者、そしてその後特別在留許可を得た者、収監された者、収監から開放された者、等々ケースが抱える問題は多様化し、複雑化している。そして、今年度の特徴として今までは単身の男性が多い中で母子のケースがあり、その対応に今までない困難さが加わった。そのためそれらの問題解決にあたり関連機関との連携がますます重要になってきている。