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○シンガポール/マレーシア

調査対象ルートのなかで、もっとも自由な自動車運行が可能であるのがシンガポールとマレーシア間の輸送である。このルートは、貨物を保税そのままで積み替えなしに国境通過輸送を行うことができる(ただし、シンガポールの商業車両はマレーシア国内を走行できないため、当該輸送はマレーシア車両に限定される)。しかし、シンガポール側税関は24時間オープンしているのに対して、マレーシア側税関は夜間開庁をしておらず、実質的には24時間の国境通過は不可能である(以下、すべての国境とも24時間国境通過は不可)。

 

○タイ/マレーシア

この両国には日系企業が集中しており、ASEAN域内輸送のなかでもっともニーズのある2国間輸送といえる。バンコク/クアラルンプールのドアツードア所要時間は現在の当該2国間輸送の主流である海上輸送の場合、ドアツードアで5〜7日程度を想定しなければならないが、自動車輸送の場合には、3日程度(タイ側の走行が1日。国境での所要時間が1日。マレーシア側の走行に1日)で済むようになりつつある。

両国は、カボタージュ(自国領域内における貨物輸送の実施を自国の業者・機器に限定する政策のこと)の観点から、相手国車両の国内輸送は認めていないが、国境地帯のターミナルで積み替え作業が容易に行える。ただし、保税状態での貨物の国境通過は一般的でなく、国境で輸出入通関を行なうのが通常である。

また、自動車輸送に加え、近年、鉄道輸送が充実しはじめている。この場合は、国境で機関車の交換はするものの、保税状態での貨物の国境通過が可能となっている。現在、サービスレベルの向上のために定時ダイヤ輸送の確立を図っている。

 

○タイ/ミャンマー

ミャンマーは公式にはタイとの陸路国境を開いてはおらず、現状はあくまでも「一時的」な国境開放措置である。そのため、政治状況等の影響で閉鎖されることも多々ある。

両国は、カボタージュの観点から、相手国車両の国内輸送は認めておらず、国境での貨物の積み替えが必要である。しかも、積み替えの「場所」こそ指定されているものの、ターミナル施設はないので、積み替えの際には輸出入者間で、

1]国境での積み替え日の設定

2]それに合わせたトラックの確保

3]輸出入通関業者の選定

4]積み替えの作業員や機器の準備

を手配しなければならない。

 

実態としては国境にそれぞれ輸出入貨物取扱専門業者があり、タイ、ミャンマー側双方とも、それらの業者に委託するのが一般的な模様である。

 

 

 

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